例えば君が正しいとして ページ9
「ここが食堂になる。決まった時間内にきて食事を摂るんだ。ふむ、いま良い時間だな、このまま夕食にしよう」
この建物内はなかなかに広いが、造りはそこまで難しくない。どちらかといえば学校のような建物の構造に近かった。その食堂の扉も分かりやすく、大きな茶色の観音扉で開けば中は4人掛けのテーブルが仲良く3卓ほど並んでいる。
「そうですね、あ、」
「あら！」
テーブルのスペースの向こうに小さく簡易な厨房があり、そのカウンターから見覚えのある女性が顔を出した。
「キリカさん」
「うふふ、名前を覚えてくれたのね！嬉しいわ」
「キリカさん、俺とAの2人分の食事を頼む」
「ええ！もちろんよ、張り切っちゃうわね！」
ぱちんと軽くウインクが飛び、思わずきゅんと胸が跳ねた。キリカさん美人な上に、優しくて素敵だ。ぽけっとキリカさんの背中を見送る私を不思議そうに眺めていた斬島さんが、私のために椅子を引いてくれる。
「わ、ありがとうございます！」
「疲れただろう。お茶を持ってくるから座っていろ」
「え！？そ、そんな」
「いいから」
強引に肩を押されて椅子に腰掛けさせられてしまった。こうまでされては断れずに大人しく、斬島さんを見送る。椅子に座ったことで私は思ったより自分が、疲弊していることに気がついた。
知らない場所を歩き回ったせいだろう。
小さく息を吐く。私が落ち着いたのを見計らったように、バタン！とけたたましい音が鳴って扉が乱暴に開いた。
「ただいまーーーーーー！！！」
「！？ あ、」
そこにはシャベルを担いだ平腹さんが立っていた。ぱちんっと視線がかち合い、元々笑顔を携えた表情が更にぱああっと輝く。
「A！！！！」
そこから目を見張る速さで、まるで好物をみつけた子犬のように突進してくるものだから、失礼ながらあられもない悲鳴をあげてしまった。
「ぎゃああ！？」
しかし、私に飛びかかる寸前で平腹さんの体がぴたりと止まる。
「こぉら平腹！それ、止めなさいって」
穏やかな声が耳に届いて、おそるおそる顔を上げればぐえーと捕まってしまっている平腹さんとにっこり微笑む佐疫さんが目に入った。
「あ･･･」
「目が覚めたんだね、Aちゃん」
「･･･佐疫、さん」
「うん」
「佐疫ー！離せってー！！」
ばたばたと暴れて、佐疫さんの手から抜け出すと、平腹さんはまるでぬいぐるみを抱きしめるように腕の中に私を閉じ込める。
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眠い羊ちゃん(プロフ) - お久しぶりです！続き待っていました！😭ありがとうございます！！！ (2023年1月26日 20時) (
レス) @page14 id: 0bb018741b (このIDを非表示/違反報告)
千歳(プロフ) - sakiさん» こんにちは！前作よりお読みいただきありがとうございます…！そんな嬉しいお言葉…励みになります…！！どうぞ一緒に楽しんでいってください！ (2022年2月2日 9時) (レス) id: c5af6075e0 (このIDを非表示/違反報告)
saki - 前作から読んでます！なんかもう……ずっと面白すぎて読み返してます……！更新、無理しない程度に頑張ってください！ (2022年1月31日 1時) (レス) @page12 id: 0fd44e5e71 (このIDを非表示/違反報告)
千歳(プロフ) - hona816さん» 前作からお読みいただきありがとうございます・・！リアル忙しく更新お返事共に鈍レスで申し訳ございません。細々とやって参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。 (2021年4月18日 20時) (レス) id: d22da3f209 (このIDを非表示/違反報告)
hona816(プロフ) - 前作も読みました！つい最近5話を読みましたけど、やっぱり面白いです！（語彙力喪失）これからも頑張ってください！ (2021年1月12日 19時) (レス) id: b73c4cc110 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千歳 | 作成日時：2020年7月26日 4時
