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恐怖に支配されそうになる身体は、痛みでかろうじて理性を保っている。必死に身体を動かし逃げ出そうとしたが、その瞬間、何かが私の腕や足にまとわりついた。
「はなび」「すいかわり」
「みたいに」「なるんだよぉ」
口のないモヤたちがにやにやと目を三日月型にして笑う。逃げられない、動けない、もう、電車が、
｢き、り、｣
｢大丈夫だ｣
思わず名前を呼んだと同時に、音もなく斬島さんが私の前へ降り立つ。カナキリは先程と同じように構えられ、全く同じように電車へも振るわれた。
再び、一線。
｢すまない、守ると言っておきながら｣
カナキリを鞘へ納めて、こちらを振り向く斬島さんはいつもの仏頂面ながらどこか眉を下げて申し訳なさそうな顔をしているように見えた。背後ではやはりモヤと同じように、電車だったものが四散していく。
「Aを離せ」
「うぅぅう」「あーあぁあ」
「すこしだったのにいぃい」
モヤたちはぐるぐるぐるぐると回ってひと塊なり、私から離れてホームへと飛び上がってそのまま消えていった。ここからはよく見えないが、何かに吸い込まれたように見えた。
震える手で持たされた小刀を抱きしめながら、小さく息を吐く。
｢で、んしゃも、きれるんですね｣
｢？ ああ｣
｢な、るほど｣
いや、全然分からないけれど。
｢ごめんなさい、う、せなか……うったみたいで起きられな、｣
｢そうか｣
｢少し時間くれれば、え、あ？｣
私の言葉が言い終わらないうちに、斬島さんの腕が私の両足と首の両腕の下へ回された。制止の言葉が間に合わない。
｢ひっ、こ、こわい！怖いです！斬島さん！｣
｢もう怖くないぞ、亡者は斬った｣
｢絶対！絶対落とさないでください！｣
｢落とすわけが無いだろう｣
不安なら俺の首に手を、とスマートに誘われてしまい完全に撃沈する。何とか動く両腕を彼の首へ回した。
｢斬島さんわたし、自信がありません……獄卒やっていけるでしょうか……｣
｢Aは何もしなくていい。俺が守る。いてくれればいいんだ｣
｢えええ？そういうわけにはいかないですよ……だって仕事なんですよね？｣
｢……そうだな｣
｢でしょう？｣
斬島さんはむっと口をへの字につぐみ、なにか納得いっていない様子で頭を振ると、ここで考え事をしていても仕方ないと体をホーム上へとあげてくれた。
斬島さんは自身の力だけでひらりとホーム上へ戻る。見習いたい運動神経だ。
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眠い羊ちゃん(プロフ) - お久しぶりです！続き待っていました！😭ありがとうございます！！！ (2023年1月26日 20時) (
レス) @page14 id: 0bb018741b (このIDを非表示/違反報告)
千歳(プロフ) - sakiさん» こんにちは！前作よりお読みいただきありがとうございます…！そんな嬉しいお言葉…励みになります…！！どうぞ一緒に楽しんでいってください！ (2022年2月2日 9時) (レス) id: c5af6075e0 (このIDを非表示/違反報告)
saki - 前作から読んでます！なんかもう……ずっと面白すぎて読み返してます……！更新、無理しない程度に頑張ってください！ (2022年1月31日 1時) (レス) @page12 id: 0fd44e5e71 (このIDを非表示/違反報告)
千歳(プロフ) - hona816さん» 前作からお読みいただきありがとうございます・・！リアル忙しく更新お返事共に鈍レスで申し訳ございません。細々とやって参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。 (2021年4月18日 20時) (レス) id: d22da3f209 (このIDを非表示/違反報告)
hona816(プロフ) - 前作も読みました！つい最近5話を読みましたけど、やっぱり面白いです！（語彙力喪失）これからも頑張ってください！ (2021年1月12日 19時) (レス) id: b73c4cc110 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千歳 | 作成日時：2020年7月26日 4時
