怪異に触れ、そして ページ14
斬島さんは玄関からは出ずに、何故か館の地下へとトントンと降りていった。どこへ行くんだろう？
｢任務に行くんですよね？｣
｢そうだ。だが……そうだな、まだAはここに慣れていないから、外の……うん、目に触れさせるのは少しな｣
｢？？？ はぁ｣
全く分からなかったけれど、とりあえず頷く。やがて現れたのは錆び付いた鉄の扉で、いや普通に外から行きたかったなの言葉が出かかり、なんとか飲み込んだ。斬島さんは怯える私に構わずか、気が付かずかそのまま扉を開ける。
｢(暗っ…！？)｣
｢手を｣
ときめくところのなのかもしれないが、扉を開けた程度では照らしきれないほどの全てを飲み込んでしまいそうな闇が、ただ扉の向こうに佇んで、残念ながら恐怖の方が勝った。自分でもびっくりするほど従順に、ぎゅうっと両手で斬島さんの手を握る。
｢ふ……なんだか懐かしいな｣
｢え？｣
｢いや、行こう。初めてだと少し気分が悪くなるかもしれないが、怖いなら目を閉じていろ｣
｢え？え？なにするんですか？｣
｢移動だな｣
斬島さんに手を引かれて、恐らく部屋の中央へと移動した。恐らくと言ったのは容赦なく背後の鉄の扉が閉まってしまい、全く光が入らなくなってしまったためだ。
｢俺の両手を握れ｣
その斬島さんの両手が何処にあるか分からない。戸惑う私を待たずに、斬島さんの手が私の両手を、まるで手遊びでもするみたいに握る。部屋があまりに暗くて、自身が目を閉じたかどうか分からなくなってしまう。
部屋の隅で話し声がする。
ひそひそ、ひそひそ、くすくす、くすくす、って。
トンっと軽い音がした。
恐らく斬島さんが靴の先を床へと打ち付けた音だと思う
。室内なのに、ふわりと風が身を取り巻いて、地面が歪んだ。
｢ひっ…！？｣
｢大丈夫だ、すぐに着く｣
動揺してたちまち体制を崩す私の腰を、斬島さんが抱えて支える。そのまま胸元に押し付けられるようにされて、固定はされたけれど恥ずかしくて仕方がない。
やがて、斬島さんの言う通りすぐに地面は安定した。目を開けていいと言われ、恐る恐る開く。
｢……ここ、って｣
つぶやいた私の声が甲高いベルの音にかき消された。シューと空気の抜けるような音、続いて動作と共に鳴る機械音。
｢で、んしゃ｣
｢ああ、ここは地下鉄だな｣
何故こんなにも懐かしい気持ちになるのか。見覚えなんて無いのに。
｢A、まずは亡者を探す。離れないでこのまま手を握っていろ｣
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眠い羊ちゃん(プロフ) - お久しぶりです！続き待っていました！😭ありがとうございます！！！ (2023年1月26日 20時) (
レス) @page14 id: 0bb018741b (このIDを非表示/違反報告)
千歳(プロフ) - sakiさん» こんにちは！前作よりお読みいただきありがとうございます…！そんな嬉しいお言葉…励みになります…！！どうぞ一緒に楽しんでいってください！ (2022年2月2日 9時) (レス) id: c5af6075e0 (このIDを非表示/違反報告)
saki - 前作から読んでます！なんかもう……ずっと面白すぎて読み返してます……！更新、無理しない程度に頑張ってください！ (2022年1月31日 1時) (レス) @page12 id: 0fd44e5e71 (このIDを非表示/違反報告)
千歳(プロフ) - hona816さん» 前作からお読みいただきありがとうございます・・！リアル忙しく更新お返事共に鈍レスで申し訳ございません。細々とやって参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。 (2021年4月18日 20時) (レス) id: d22da3f209 (このIDを非表示/違反報告)
hona816(プロフ) - 前作も読みました！つい最近5話を読みましたけど、やっぱり面白いです！（語彙力喪失）これからも頑張ってください！ (2021年1月12日 19時) (レス) id: b73c4cc110 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千歳 | 作成日時：2020年7月26日 4時
