【wrwrd】我々国に就職します【3rd】

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「そういえば、今日はどこなん？」

「えーっと、今日はひとらんさんのところですね。市場調査？とあと午後からエーミールさんのところで書庫の整理をお手伝いすることになってます」

「相変わらず忙しいねんな〜。またAと街に遊びに行きたいんやけど」

「あはは‥‥屋台回るの抑えてくださるのでしたらぜひ‥‥」

えー？と口を尖らせるゾムさんは少し子供っぽくて可愛らしい。苦笑しながらナイフを回収して木箱に集め、よいしょと持ち上げた。

「私、これを武器庫にしまってきます。ゾムさんは先に戻られます？」

「俺も一緒行く！」

「？ そうですか？」

「おん。持つ？」

「いえいえ！私の訓練に時間を割いていただいていますし」

首を振って遠慮するとまたぷーと口を尖らせた。そのまま、いつものようにフードのポケットに手をいれて、とてとてと私の隣に並ぶ。

ゾムさんはここ最近ご機嫌だ。何よりである。

「あ、A、ゾムも」

ふと、城の廊下の出入り口からトントンさんが顔を覗かせた。手にたくさんの資料を抱えて、ふらふらと歩いている。

「おはようございます」

「はよ〜トントン」

「ああ、今日訓練日やったっけ‥‥」

なんだかトントンさんの顔色がよくない。そういえば、最近は皆さんの業務の補佐に回ることが多くて、トントンさんのサポートができていないな‥‥またご無理をしているのでは‥‥。

「あ、あの、よかったら私なにかお手伝いできますか？」

「ん？A今日はらんらんとエミさんのとこやろ？」

「あ、う、ええと‥‥」

「大丈夫やで。Aがみんなのこと補佐してくれるお陰で、前よりは楽やし」

「そうですか‥‥？」

「勿論。自慢の部下ですよ」

「！」

かあっと思わず顔に熱が上った。まさかそんなこと言ってもらえるとは思わず、子どものようにはしゃいでしまいたくなる。

「２人ともはよ行かな朝食のラウンジ閉まるで。じゃあ、また後でな」

「あ、はい！お疲れ様でした！」

渡り廊下を歩いていくトントンさんの背中を見送り、スキップでもしそうになる足を叱咤して木箱を持ち直す。

「‥‥るんるんやね」

「ふふ、褒められましたので」

「俺やってAのこと褒めてるのに」

「？ゾムさん？」

「さっき俺が近づいてもそんな顔せーへんかったのに〜‥‥」

ぷーっと口を尖らせながら、なにかをぽそぽそ呟くゾムさんの気分を損ねてしまったようだ。木箱を持ちながらおろおろとしてしまう。

3→←弟子も大変です

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