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「この国について興味がある、ということでしょうか?」
私のしどろもどろの説明を、エーミールさんが噛み砕いて分かりやすくまとめてくれた。頷けば、煎れてくださった珈琲を私に手渡してふむと、顎に手を当てる。
「なるほど。でも嬉しいですね、Aさんがこうして我が国に興味をもってくれるのは」
「私、何も知らないことばかりなので・・・自分で調べたりもしてなかったな、と思いまして・・・」
珈琲に口をつけながら、萎み萎みの説明にもエーミールさんはニコニコと笑顔で聞いてくれる。
「大変結構です。私でよかったらお教えしましょう。そうですねぇ、まずは・・・」
この国の建国からでしょうか、と首をひねりながらエーミールさんが口を開いた。
「元々、この国の責任者はグルッペンさんではありませんでした。とある一王がいて、グルッペンさんはその王に従事する兵だったと聞いています」
「聞いている・・・?」
「私がこの国に来たのは建国よりも大分後なので、手記や皆さんの証言を元に記録をしているんですよ」
私、意外に新米メンバーなんです、と苦笑しながらエーミールさんも珈琲を1口含んだ。
「オスマンさんやトントンさんの加入よりも前に、グルッペンさんは革命軍のトップとして王を討ちました。そして国のトップに立ち、以前からの旧友たちを引き入れた。というのが、この国の建国の始まりです」
「前王はどうして討たれたんでしょうか・・・?」
「そうですね、色々理由はありますが諸説ありすぎて何とも言えない、というのが正直なところです。力を持った王だったようですが。けれど、グルッペンさんはそれを討ちました。というのもここが面白くて」
コーヒーカップをソーサーに置いて、エーミールさんは少し楽しげな様子で組んでいた足を元に戻す。
「グルッペンさんが率いていた革命軍は数はおらず、今こそ実力者の皆さんがいますがその当時は彼一人・・・ほとんどが兵士の同僚だったようです。そんな力のない部隊で王を討つなど不可能な、はずでした。けれどね」
彼はとても賢かった。
「前王と睨み合っていた国があったんですよ、同じような勢力を持って、互いを目の敵にしていた。けれどギリギリのところで平静を保っている。そんな国が、突然突っかかってきたそうです。何の前触れもなく、前王を"泥棒!"と罵っていたそうで」
「え?泥棒?前王はなにかその国から盗んだんですか?」
首を傾げながら問うが、エーミールさんは苦笑を返した。
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千歳(プロフ) - 夜空(主にDS)さん» 私も好きです‥‥!2回書くくらい!(笑)ありがとうございます。書き溜めていた分が思ったより多くて偉い量になりました!そうなんです‥‥この話ややこしくて長いお話なのです‥‥そういう訳わからない設定を作るのが昔から好きでして‥‥! (2019年9月25日 22時) (レス) id: 3a13f3dc2e (このIDを非表示/違反報告)
夜空(主にDS)(プロフ) - お酒…そういう話好きなんですよね〜(夢主が酔っちゃう系結構好きッス)あと、更新お疲れ様です!こんなにたくさん更新してて尊敬しましたwそれと、夢主の両親の過去(?)が思っていたより深くてどうやったらこんな思いつくんだと思いましたw (2019年9月24日 2時) (レス) id: 1e511e327c (このIDを非表示/違反報告)
千歳(プロフ) - 夜空(主にDS)さん» そうなんですね・・・!読んでいただけて光栄です。感想いただけてこちらこそお陰で力になります!ありがとうございます!本当にややこしくいお話なのでお付き合いいただければと思います!こちらこそまたお待ちしております! (2019年9月22日 0時) (レス) id: f6f8db44cb (このIDを非表示/違反報告)
夜空(主にDS)(プロフ) - 千歳さん» いえいえ!(o^^o)最近、我々だ!への愛(?)が増してきててそれで調べてたら出てきたので拝見してとても一人で発狂してました((面白さとか込みでwはい!またコメントすると思うのでそのときは、よろしくお願いします! (2019年9月21日 22時) (レス) id: 1e511e327c (このIDを非表示/違反報告)
千歳(プロフ) - 夜空(主にDS)さん» 初めまして!こんなに長くややこしい話をここまで読んでくださり、ありがとうございます!嬉しいです・・・!私もそこは書いていて楽しかったですwありがとうございます、まだまだ続くのでよろしくお願い致します。 (2019年9月21日 18時) (レス) id: f6f8db44cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千歳 | 作成日時:2019年5月19日 4時