【7.最後の宴】 ページ21
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ーー数日後。
「よーし、皆飲み物は持ったな？明後日の我らの上京を祝って、乾杯！」
「「「乾杯！！」」」
近藤の音頭に合わせて、皆自分の湯呑みやらお猪口やらを、それぞれ高く掲げると、ぐいと一気に飲み干した。Aも場の雰囲気を楽しみながら、アルコールを口に含めば、濃厚な甘さが体内を下っていくのを感じる。その久しぶりの酒の味に、ケホと小さく噎せた。
「あら、Aさんはお酒は苦手ですか？」
運んで来た芋の煮物を並べながら、ミツバが「意外でした」と微笑する。それを、Aは曖昧に誤魔化すようにして、笑みを返した。
父が生きていた頃は、人並み程度に飲むことが出来ていたのだが、剣の修行の旅に出て、めっきり酒を嗜む機会が減った。金銭的な理由が大きいが、A自身もそこまで飲むのに拘ることもなく。そうして、気が付けば下戸になってしまっていたのだ。今も一口だけで、ほかほかと体の芯から温まっているのを感じる。ほどほどで止めておくが賢明だろう、と手に持っていたお猪口を戻した。
「煮物美味しそうだな、ミツバが作ったのか？」
「はい、今日のは自信作なんです。良かったらこれもかけてみて下さい。お料理ととても合うんですよ」
「あ、ありがとう……」
当然のように、ミツバは懐からタバスコのビンを取り出した。中身が半分減っている。それを見、苦い笑みを浮かべながら、差し出されたタバスコを受け取った。ミツバの視線が自分から離れた瞬間を見計らって、かけた振りをしよう。そうして、恐る恐る様子を伺う。その時目に映ったのは、愛しいものを眺めているような、優しげな色を帯びた瞳であった。Aがその視線の先を追うと、そこにあったのは、近藤と他愛もない話題で盛り上がっている土方の姿。それに気付いた途端、Aの口からは無意識に言葉が転がり落ちていた。
「……ミツバは、土方達と一緒に上京しないのか？」
「Aさんこそ。近藤さんの誘いを断ったと聞きました。本当に良かったんですか？」
「っ……」
質問を質問で返される。それが触れられたくない話題であったと、遅かれながら察したAは自らの失態と、その後悔に僅かに顔を歪めた。
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☆辻村春樹☆(プロフ) - ハルさん» 初めまして！コメントありがとうございました。沖田姉弟の場面もこだわって書いている部分が多いので好きになって頂けて嬉しいです。総悟は出番少なかったので徐々に増やしていけたらいいなと思ってます！これからもよろしくお願いします。 (2022年1月6日 23時) (
レス) @page35 id: 4b0a37e42a (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 初めまして。沖田が姉上とデェトと言うところが可愛すぎます……。あと文章がめちゃくちゃ好きです。とても引き込まれます。ミツバの印象のシーンなんてもう感動いたしました！これからも応援しています！ (2022年1月6日 22時) (レス) @page14 id: 2a42df9825 (このIDを非表示/違反報告)
☆辻村春樹☆(プロフ) - いくまさん» わ、嬉しい！ありがとうございます！！需要ないよな、と落ち込んでましたが、おかげでこれからも書き続けられます、更新頑張ります！！（嬉し泣きしそうです…） (2021年12月13日 18時) (レス) id: 4b0a37e42a (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 新作ドタイプです…陰ながら全力で応援させて頂きますね、、！更新頑張って下さい！ (2021年12月13日 17時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：☆辻村春樹☆ | 作成日時：2021年12月12日 20時
