【6.それぞれの答え】 ページ16
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ーー同時刻、沖田家にて。
「んじゃ、俺帰っから」
姉弟を家に送り届けた土方は、ミツバに別れを告げて背を向ける。ここまで来るまで沖田には文句を言われ続け、散々な目にあった。姉上の護衛は自分だけで良いとか。弱い土方はいらねぇとか。そこまで文句言うならと、全てを投げ出したくなる衝動が湧き上がるが、ミツバがいる手前、子供のような喧嘩をするわけにもいかない。率先して入浴の支度に行った沖田が戻る前に、立ち去った方が良いだろうーーそう思ったのだが。
「あ、待って十四郎さん」
「なんだ」
「あの、教えて欲しいことがあって」
「……」
土方は黙ったまま、後ろを振り返った。
「皆江戸で一旗上げるって、本当？」
「誰から聞いた」
「そーちゃんが今朝、嬉しそうに」
「あの馬鹿……」
呆れたように、言葉を吐き出した。上京すれば、滅多に武州に帰ることは出来ない。余計な心配をかけないよう、あと数日黙っているつもりであったのに。ミツバは細く白い手を強く握り締め、意を決したように口を開いた。
「私も、連れて行って」
初めて見る熱を帯びた瞳に、心臓がどきりと高鳴った。総ちゃんの親代わりだから。私がいないと。そう説明するミツバの声が、やけに遠く聞こえる。武士を目指す以上、いつまでも武州の田舎にはいられない。いつか、こんな日が来ると思っていた。ミツバに気付かれぬように、こっそり耐えるように唇を噛む。
「ーー十四郎さんのそばにいたい」
想い人のミツバから送られた精一杯の告白。
純粋に嬉しかった。それに頷いてやりたいとも思った。だが、ミツバの本当の幸せを思うなら、土方の返答は既に迷う間もなく決まっていたのだった。
※
「お帰り、土方」
土方は俯いていた顔を上げる。近藤家の玄関口で、壁に凭れ掛かりながら立っている女ーーAは、ひらひらと手を左右に振った。どうやら自分の帰宅を待ち構えていたらしい。黙って前を素通りしても、親鳥を追い掛ける雛鳥のように、土方の後ろをどこまでも追い掛けて来た。
「少し話をしないか？」
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☆辻村春樹☆(プロフ) - ハルさん» 初めまして！コメントありがとうございました。沖田姉弟の場面もこだわって書いている部分が多いので好きになって頂けて嬉しいです。総悟は出番少なかったので徐々に増やしていけたらいいなと思ってます！これからもよろしくお願いします。 (2022年1月6日 23時) (
レス) @page35 id: 4b0a37e42a (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 初めまして。沖田が姉上とデェトと言うところが可愛すぎます……。あと文章がめちゃくちゃ好きです。とても引き込まれます。ミツバの印象のシーンなんてもう感動いたしました！これからも応援しています！ (2022年1月6日 22時) (レス) @page14 id: 2a42df9825 (このIDを非表示/違反報告)
☆辻村春樹☆(プロフ) - いくまさん» わ、嬉しい！ありがとうございます！！需要ないよな、と落ち込んでましたが、おかげでこれからも書き続けられます、更新頑張ります！！（嬉し泣きしそうです…） (2021年12月13日 18時) (レス) id: 4b0a37e42a (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 新作ドタイプです…陰ながら全力で応援させて頂きますね、、！更新頑張って下さい！ (2021年12月13日 17時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：☆辻村春樹☆ | 作成日時：2021年12月12日 20時
