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『土方さんなら、ミツバさんと総悟くんを家に送って行ったZ』
「ああなるほど」
結局、大掃除は夕方まで続いた。おかげで家中が綺麗になったが、その代償は大きい。皆くたくたに疲れ切っており、ミツバが沖田と共に休憩を挟んでから、帰路につく頃には太陽が山間に沈みかけていた。辺りは薄暗く、女と子供だけで歩くのは、やや心許ないだろう。
「それなら私は帰りを待つことにするよ。土方がミツバと二人きりになれるかもしれないんだ。邪魔するのは野暮ってもんだろ？」
脳内には、昼間、頬を赤く染める土方の顔が思い出される。沖田がいないタイミングを見計らって、こっそりと二人だけで何か言葉を交わしたりするのだろうか。Aは微笑ましいやり取りを一人妄想し、微笑を溢した。
斎藤も同調するように小さく頷く。だが、やがて緊張が極限にまで達したのだろう。やや青白い顔をしながら、斎藤は厠のある方向に、脱兎の如く走り去って行った。
「大丈夫かな、斎藤……」
例え筆談であっても会話出来たのは嬉しい。大きな進歩だ。だが、そのために斎藤が極度の緊張感に晒されていると考えると、無理はしないで欲しいとも思う。本来ならば、相手のペースに合わせて、ゆっくり関係を築くことが理想だが、もうAたちには時間がない。斎藤も、近藤たちと共に、上京することを決めていたからだ。
「あれー津々楽さん！終と何か話してたみたいっすけど、どうかしたんすか？」
大部屋から、永倉がひょっこりと顔を出す。大掃除に疲れて寝入ってしまった者も続出するなかで、この男だけは変わらず元気だった。脱藩したとはいえ、元々武士身分だった男だ。幼少期から鍛えていた身体を持ってすれば、掃除如き屁でもないらしい。
「土方を探してたんだが外出中らしい。私はまた出直すことにするよ、また明日な永倉」
「おー、腹出して寝んなよ〜」
「それはこっちの台詞だ。風邪引いても知らねぇぞ？」
「ははっ、寝込んで近藤さん達と行けねぇと困るもんな」
けらけらと永倉はひとしきり笑ってから、すっと真剣な顔付きになった。本気で、Aを案じるような声色に、Aは罪悪感で僅かに顔を歪ませる。
「皆と上京すんのに何を迷ってんのか知らねぇけどさ。何か悩みでもあるんなら、土方さんでも近藤さんにでも話してみろよ。力になってくれると思うぜ」
「……そうだな」
Aは静かに踵を返した。
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☆辻村春樹☆(プロフ) - ハルさん» 初めまして！コメントありがとうございました。沖田姉弟の場面もこだわって書いている部分が多いので好きになって頂けて嬉しいです。総悟は出番少なかったので徐々に増やしていけたらいいなと思ってます！これからもよろしくお願いします。 (2022年1月6日 23時) (
レス) @page35 id: 4b0a37e42a (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 初めまして。沖田が姉上とデェトと言うところが可愛すぎます……。あと文章がめちゃくちゃ好きです。とても引き込まれます。ミツバの印象のシーンなんてもう感動いたしました！これからも応援しています！ (2022年1月6日 22時) (レス) @page14 id: 2a42df9825 (このIDを非表示/違反報告)
☆辻村春樹☆(プロフ) - いくまさん» わ、嬉しい！ありがとうございます！！需要ないよな、と落ち込んでましたが、おかげでこれからも書き続けられます、更新頑張ります！！（嬉し泣きしそうです…） (2021年12月13日 18時) (レス) id: 4b0a37e42a (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - 新作ドタイプです…陰ながら全力で応援させて頂きますね、、！更新頑張って下さい！ (2021年12月13日 17時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：☆辻村春樹☆ | 作成日時：2021年12月12日 20時
