ヤンデレ一松続編 (ページ30)

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第80松ページ30

A目線

まさかのタイミングで入ってこられ、私たちは度肝を抜かれた。

怪しく笑う一松の瞳には、最早光など宿っておらず、闇だけで塗りつぶされていた。

手には、勿論刃物を持っており、何故か紅いのがベッタリと付着していた。

「なん…で…！？」

「やっと見つけたよ、A。さぁ、一緒に行こう」

「い、一松兄さん！落ち着いて！！こ、こんなとことしたって、何も起こらないんだよ！？」

トド松は大きな声で、一松を呼び覚まそうとした。

何か言わなくては、ｺﾛされると思ったから突如叫んだのだろう。

私も何か行動や言葉にしないと…。

「…何、トド松。仕方無いから、最後の言葉くらいは聞いてやるよ」

「…っ、本当にバッッカじゃないの！？こんなことして、何になるの！？Aを心から愛しているんだったら、もっと別の愛し方をしていたはずだよ！！」

「別の愛し方なんて、無いんだよ。別の方法でやっても、Aは振り向いてくれない。だからこうするしか、無いんだよ」

「じゃあ聞くけど、今のAは一松兄さんを好きでいる様子に見える！？目、腐ってんじゃないの！？本っ当に何で僕の兄達はバカしかいないんだよ！」

「へぇー、アンタより上のお兄さんである僕にそんな事言うようになったんだ。…本っ当に僕の兄弟はAの事なんてこれっぽっちも考えてないんだね」

２人の怒涛の言い合いに私はどうすればいいか分からなかった。

仲裁しようとしても、原因は私だし…。

２人の言い合いが終わるのを待てばいいのかな。

「…でも、もしかしたらって思うんだけどね。…もう一松兄さんも分かってるんじゃないの？
今の自分の愚かさに」

「は…？僕が愚か？兄弟をｺﾛしてAを手に入れる事が愚かなの？」

「ほら、もう自分が今やっている行動とか理解してるじゃん。仮にAを手に入れたとしてもね、Aは心から一松兄さんを愛せないと思うよ、僕は」

「お前に僕の何が分かるの？僕はこんなにも愛しているのに、Aは振り向いてくれるどこか、僕を捨てようとしたんだよ？だったら、他にどんな平和な方法があるの？
……こうするしか、無いんだよ。僕には」

「ねぇ、一松兄さん。思い出してよ。
…本当の愛を」

「…っ！煩い、煩い煩い煩い煩い煩い…！！コロス、オマエヲ、コロス」

刃物に力を入れた一松はトド松に襲いかかった。

「トド松！危ない！！」