頑張れJK/osmn ページ16
まあ、同級生の視線はとても痛かったが、マンちゃんが嬉しそうにニコニコと笑っているものだから、怒ることも、彼の思いを無下にしようとも思わなかった。
貴「どうして学校まできたの？」
「せっかくやもん。制服デートしようと思ったんや。」
私の予想の斜め上の答えにどきりと胸が高鳴った。30過ぎたおっさんにときめかされるとは思わなかった。
ﾁﾗｯと横顔を伺ってみれば、彼は真っ直ぐ前を向いていた。
「着いたよ。」
「ここって……パンケーキのお店？」
可愛らしい飾りがついたお店だった。最近できたばかりという話題のお店ということを思い出した。
案内されるがままに席に座って、マンちゃんのおすすめを注文する。こんな可愛らしい店に来たことあるのだろうか？疑問はあるが、きかないほうがいいと、なんとなく思った。
少ししてパンケーキが運ばれてきた。クリームがたっぷりと乗せられている。フォークでつついてみるとふわふわと動く。
貴「美味しそう！」
「いっぱい食べり。」
うんと返事してパンケーキを口に運ぶ。口の中でクリームが広がって、ほっぺが落ちる、と表現してもいいくらいには絶品だった。それから世間話をしつつ食べていれば、いつの間にか完食していた。
貴「ご馳走さまでした！マンちゃん、ありがとう。」
「どういたしまして。」
朝、憂鬱になっていた私はすっかり元気になっていた。マンちゃんには感謝してもし足りないくらいだ。
送ると言ってくれたマンちゃんと一緒に電車に乗り込む。その間マンちゃんは社会の優しい問題から難しい問題まで幅広く問題を出してくれて、分かりやすく教えてくれた。
貴「マンちゃん！今日は本当にありがとう！凄く嬉しかった。」
微笑んで言えば彼も微笑んでくれた。
「A」
貴「なに？」
「お疲れ様。辛いかもしれへんけど、Aやったら大丈夫やで。俺もついとる。」
私の頭を撫でながら穏やかな顔でそう言ってくれた。涙腺がゆるんで涙がこぼれて落ちそうなのを必死にこらえる。
なんて優しくて、心強いのだろうか。
貴「マンちゃんがいてくれるから、頑張れるよ私。」
「ずっと一緒に、Aの隣でいくらでも励ましたるからな。」
貴「なんか、プロポーズみたいだね。」
嬉しいけれど照れてしまう。元気が出てくる。彼の言葉は魔法のようだった。
「プロポーズ、やからな。」
貴「？何か言った？」
「なにも。もう少し先に、な。」
彼の本心はまだ、伝わらない。
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作者名：大佐 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年2月5日 15時
