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第五十話 ページ7

私の頬を両手で包み込んだと思ったら、零は自分の唇を私の唇に重ねていた。

私は思わず目を見開く。

唇が離れたと思ったら、零の愛おしむような瞳は一変

鋭い瞳に変わった。



「この怪我は…」



零はそう呟くと、スリ…と私の頬を手の甲で撫でた。



「…わからないんだ、気が付いたらここにいて…怪我してた」


「ここに来る前はどこに?」


「友人の家でお酒を…」



ふむ、と言いそうな表情で自身の顎に手を置く零。



「…あのー、僕達置いてけぼりなんだけど」


「ここ外ですよ!一旦事務所に入りましょう!!」



蘭さんは私と零の手を引き事務所の中に連れていった。



「…さて、ではごゆっくり」


「え、僕お姉さんと一緒に…」


「だーめ。今は二人っきりにしてあげましょ」



そう言いながら、私たちを残して蘭さんとコナンくんは外に出ていった。



「……念の為もう一度聞きますけど、夢じゃないんですよね?」


「…うん。夢じゃないよ」


「抱きしめても?」


「さっきもしたじゃないか。…どうぞ」



零は私の腰に手を回す。



「…よかった、また会えた」


「…うん。…透に会えなくて寂しかったよ」


「…今は、零と呼んでくれ」


「でも」


「いいからっ、君の口から聞きたいんだ。偽名じゃなくて、僕の名前を…」



顔を上げ、苦しそうな顔をする透の頬に手を伸ばす。



「零」



そう言えば、零はまた私をきつく抱き締めた。

零の頭を撫でれば、彼は私に擦り寄ってくる。

首にあたる零の髪がくすぐったい。



「…今度は、Aがこっちに来たんだな」


「ああ。ただ、まったくここに来たまでの記憶が無い。さっきまで自分の下の名前もわからなかったくらいだ」


「、、、それは、大丈夫なのか?」


「うん。零が名前を呼んでくれたから、思い出せたんだ」


「…そうか。…Aは、Aがいた世界に戻れるのか?」


「どうだろうな。戻れるかも知れないし、戻れないかも知れない」



自分の髪をくるくるとして答える。



「Aは、戻りたい?」


「…生まれ育った世界だから、戻りたい気持ちもある。でも、今は零と一緒がいい」


「…A」



あ…、また。

キスされそう…



「帰ったぞぉー。…あ?」



と、言う時に

事務所のドアが開いた。



「おかえりなさい、毛利さん!」



一瞬で零は透に切り替わった。



「なんでおめぇがここにいるんだぁ?」

第五十一話→←第四十九話 透side



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yu-kun(プロフ) - まだ見ていただいてる方へ。アカウント変えて続き書いてます。よろしくればプロフからどうぞ。 (2023年4月5日 4時) (レス) id: 7bcd0f2da7 (このIDを非表示/違反報告)
美月 - 「続き」じゃなくて「終わり」になってるから続くのか心配です....見たいです。作成さんも都合があると思うのでそこは首を長くして待っておきます!更新をが楽しみです (2022年6月24日 11時) (レス) @page46 id: c0ec2f5f77 (このIDを非表示/違反報告)
さねみん推し(だが渋い槇寿郎も好き) - 続きがとても気になります!更新楽しみに待ってます! (2021年5月2日 18時) (レス) id: c50ca7ded5 (このIDを非表示/違反報告)
よる - 感情がリアルで凄くドキドキします!続き楽しみです! (2020年6月17日 9時) (レス) id: 68950930bb (このIDを非表示/違反報告)
名無し - わー!続きが気になります!更新楽しみにしてます(^^) (2020年3月18日 5時) (レス) id: 1e13ba2df3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:yu-kun | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/yyyh/  
作成日時:2019年10月6日 16時

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