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第四十話 ページ42

「零、遊園地に行かないか?」


「…遊園地?」



珈琲片手に新聞を読んでいる零に声をかける。

あの日から、私と零は一緒に外に出ていない。



「そう。同僚から遊園地のペアチケットを貰ったんだ」


「でも僕が行くと…」



あの日のことを言っているのだろう。



「…それなんだが、いい作戦を考えた。…私と、一日限りの恋人にならないか?」



そういいながら、零にリングケースを差し出す。



「…え?」


「安物だがペアリングだ。シンプルだからどのファッションにもあうだろう」


「いや、Aちょっと待ってくれ。ペアリングって…」


「形から入るのも悪くないだろう?」



口角を上げ零に問いかける。



「…まあ、そうだな」



零はリングケースを受け取り、私の左手の薬指にはめた。



「…似合ってるよ」


「い、意外と恥ずかしいものだな」



右の手の甲で口元を隠す。



「それじゃあ、僕にも付けてくれる?」


「…うん」



零の左手を手に取り、そっと薬指に指輪をはめる。



「…なんか、結婚した気分だ」


「…そう、だな」


「…恋人じゃなくて、夫婦なんてのはどうかな?」



零はにやりとしこちらを見る。



「じゃあそれでいい」



恥ずかしくなり顔を下に向けると、零は私の顎を掴んで上に向かせる。



「よろしく、奥さん」


「…よろしく、旦那様」



一日限りの夫婦生活がスタートした。

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ぷぅ(プロフ) - はい、大好きな作品で何度も繰り返し読ませていただいてますし、これからも繰り返し読ませていただきますね(#^.^#) (2020年9月19日 23時) (レス) id: b4f5c0261e (このIDを非表示/違反報告)
yu-kun(プロフ) - ぷぅさん» そう言って頂けて幸いです。忙しさを理由に小説を書けていない事、申し訳ないです…。私の小説のためにコメントしてくださってありがとうございます。まだ好きでいてくれてありがとうございます。ぷぅ様、これからもこの小説をよろしくお願い致します。 (2020年9月19日 23時) (レス) id: 60a3e99319 (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ(プロフ) - いえいえ、違うかもしれないですけど大好きな作者さんが頑張って書いてくれた素敵な作品をもし盗作されたらと思うと悲しいので( >Д<;) (2020年9月19日 23時) (レス) id: b4f5c0261e (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ(プロフ) - プロフの名前はくまたそです。 (2020年9月19日 23時) (レス) id: b4f5c0261e (このIDを非表示/違反報告)
yu-kun(プロフ) - ぷぅさん» これから確認し、内容次第作者様の方にご連絡差し上げようかと思います。わざわざありがとうございました。 (2020年9月19日 23時) (レス) id: 60a3e99319 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:yu-kun | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/yyyh/  
作成日時:2019年3月10日 14時

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