(物理的に)小さい降谷さん、拾いました。【名探偵コナン】I

第二十五話 ページ27

車を走らせ家に着いた。

扉の鍵を開け中に入り、靴を脱ぎ家に上がる。

降谷はどこにいるのだろうか。

リビングに入ると、すぐに降谷を見つけた。



「おかえり、古谷」


「ただいま、降谷。…ん？」



スーツに着替え、机にぶら下がっている降谷を見つけた。



「……降りれなくなったのか？」


「え？ あ、違う！ 筋トレだ」


「筋トレか」



そうか、筋トレか。

漫画でハードな筋トレしてたもんな。

…汗をかいているみたいだし、風呂でも入れるか。



「お疲れ様、風呂入るか？」


「…あぁ、入ろうかな」


「わかった。用意してくる」



なるほど、スーツに着替えたのは筋トレするためか。

浴衣じゃさすがにしにくいしな。

風呂の用意を終え、降谷を風呂に入れた。



「湯加減どうだ？ぬるくないか？」


「いや、ちょうどいいよ」


「よかった。タオルと服、用意できてるから」



さて、降谷が上がってきて採寸できるように準備するか。

さっき買った型紙と布を机に広げる。

裁縫道具の中からメジャーを取り出したら準備終わりだ。

降谷が出るまで、生徒達から貰ったメッセージカードと手紙でも見るか。

クラス全員が手紙を書いてくれて、先生は嬉しいぞ。

一枚、一枚読んでいく。

皆の手紙の中には、大好きという文字が必ずあった。

その言葉を読む度に、涙ぐんでしまう。

私ってこんなに涙もろかっただろうか。

そんな自分が少しおかしかった。



「古谷、上がったぞ」


「…あ、すぐ出す！」



浴衣を着た降谷さんを抱え、机に下ろす。



「…っ、古谷…！？ どうした、どっか痛いのか！？」


「え…？」



…あ、涙…。



「いや、違うんだ。今日、教え子の卒業式でな…」


「卒業、式…？ …あぁ、そうなのか。おめでとう」


「…ありがとう。て、私がお礼を言うのも変か…」


「いや、そんなことはないよ。古谷が今まで育ててきた生徒が旅立つんだ。本当におめでとう、古谷。お疲れ様」


「…やめてくれよ……そんなこと言われたら尚更っ…」


「いいんだよ、泣いて。よく頑張ったな」



今の私にその手のことを言われたら泣かずにはいられないだろう。

なんなんだ、この男は。

この男のせいで、いつもの私が崩れてしまう。



「ふっ…うっ…よかった、無事に旅立って、くれっ、て…」


「うん、おめでとう」


「うぁっ…ありがとっ、ありがとうっ」



そんな言葉をかけられると、本当に頑張ってきてよかったと

心から思う。

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