第１７話：魔女のケーキ １ ページ49
今日は香川さんが遠征から帰ってくる日。
私はいつも通り、彼が家に到着する予定時間を計算して食事の準備を進める。
ところがあらかた仕込みが終わって後はお肉を焼くだけ、の段階になってもまだ帰って来ない。私はダイニングチェアに腰を下ろして、玄関の方に視線を向ける。
どうしたんだろ、クラブハウスでなにか問題でも起きたとか？
最近物騒だし。なにかあったのかな。
ありきたりの思い付きでそう思っただけだったけど。
言葉にした途端、不意に襲ってきた不安感。それは急激に大きくなって息が苦しくなった。
何度確認しても時計が止まってるとか、時間の進みが遅いとかそんな事もなくて。
いつまで経っても静かな玄関。
もちろん事故にあってないかって心配するのは普通だと思う。
…でも。
息が苦しくなるくらい不安になるなんて。
最近の私は変だ。
クライアントとこんなに深く関わった仕事はなかったからさじ加減が分からない。
…という段階はもうとっくに過ぎている。
近くにいたらいたで彼を目で追ってしまうし。
いなきゃいないでそわそわと落ち着かない。
仕事中であろうとなかろうと関係なく彼の事ばかり気にしてるのだから。
ただおとなしく待っているのなんて、もう耐えられない。
増殖するモヤモヤを抑えきれなくなって、振り払うように大きな声を出した。
「よし、何か作ろう！」
余計な事を考えたくない時はコレに限る。
私は不安感を振り切るように立ち上がった。冷蔵庫のドアを思いっきり開け放って中を覗き込む。
…確か生クリームがあったはず。
小麦粉をふるいにかけて、砂糖、卵、それから…。
大食いの兄弟達のせいでお菓子作りから遠のいていたけれど、入社と同時に一人暮らしを始めてから何か気に入らない事や辛い事があった時はお菓子を作るようになった。
甘い匂いに囲まれて手を動かしていると、作業に集中して余計な事を考えずに済むから。
幸い、香川さんちには立派なビルトインのオーブンがあるじゃないの。
使い方もバッチリ習得済みだからね。
とはいえケーキを焼くのは初めてだし、ここは失敗知らずのパウンドケーキかな。
ホームシック真っただ中から引き上げてくれたのもアレだったしね。
そう言えば、香川さんもまたあのお店のケーキを食べたいって言ってたし。
お店の場所を教えてもらって何度か通って、生クリームを添える事を覚えた。
せっかくならドイツ風にしようっと。
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ちさと(プロフ) - あけみのりさん» ご無沙汰してます！あけみのりさんにも読んでいていただいてたなんて♪本当に嬉しいです！せっかくならとかたつむりファミリーに入れてみました^_^なかなか進展しませんでしたが、ここから畳み込みます。頑張りますので、引き続きお付き合いくださいね (2018年8月20日 23時) (
レス) id: ff298968ef (このIDを非表示/違反報告)
あけみのり(プロフ) - ちさとさーん！お久しぶりです(^-^) 新作始まってからちゃっかり読ませていただいてますよ(^_^)v いよいよ気持ちが動き出しましたね！ お馴染みのメンバーも出てきて嬉しいです。続きも楽しみにしてますね(^^)/ ちさとさんのペースで更新待ってます！ (2018年8月20日 22時) (レス) id: 27aa1d491f (このIDを非表示/違反報告)
ちさと(プロフ) - 716(なないろ)さん» わぁ！716さん！！お久しぶりです〜っコメントありがとうございます♪嬉しいです。初香川さんメインでドキドキでしたが、楽しみにしていると言ってもらえて励みになります。続きもよろしくお願いします (2018年8月7日 21時) (レス) id: ff298968ef (このIDを非表示/違反報告)
716(なないろ)(プロフ) - お久しぶりです！新作公開おめでとうございます！かがーさんですかぁ〜(^∇^)確かに売れ残っている大物ですなwまたクセのありそうな魔女さんですが、続きも楽しみに待ってます！ (2018年8月7日 15時) (レス) id: c421c2d9db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちさと
| 作成日時：2018年8月6日 17時
