かたつむりの輪舞（ロンド） 第１章

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片づけるモノは山ほどあるし、
うたた寝の邪魔になる掃除機は、練習に行ってる間に済ませればいいか。

まずは、マンガとゲームのコントローラーと・・・。

目に着くモノを手当たり次第、あるべき場所に納めて、
ぽいぽい脱ぎ捨てられた洋服たちをかき集めた。

もう、洗うモノはないかな。

ひとまず１回分の洗濯モノを集めたところで、もう一度ぐるりと辺りを見回すと。

あ、あった。ソファの上に、かたつむり発見。

脱いだ靴下がくしゅくしゅのままなんて、あの子達と同じじゃない。
しかも、なんで気にならないの？

ぷぷっと笑いながら、丸くなった内田さんの影に隠れたかたつむりを回収した。
もう片一方あるかなぁと、そっとブランケットを捲ると添い寝中の靴下を発見。

あった、あった。と手に取った瞬間。

「う・・・ん」

と内田さんがごろりと私の方に寝返りを打った。

っ！痛ぁいっ！！
は、挟まれたぁ！

伸ばした腕は、まんまとかたつむりごと内田さんの下敷きに。
しかも、

「ぬ、抜けない・・・。」

がっちりとしたカラダに押しつぶされた腕は、
いくら引っ張ってもビクともしない。

ウソでしょぉ。
なんで抜けないの・・・よっ！

こっちは必死なのに、
ゆさゆさと揺さぶっても、熟睡していて、一向に起きる気配はない。
テンパってる私とは対照的に、平和そのものって顔して眠ってる。

「内田さん、起きてっ！！痛い痛い痛〜いっ！！」

なのに、私の訴えも虚しく、彼は変わらずむにゃむにゃと夢の中。

そんなぁ。
目を覚ますまで、ずっとこのまま？

ムリ、ムリ。それだけは絶対に避けたい。

「ねぇ、起きてよぉ。」

なんとも情けない声で、お願いしてみても。
彼はまったく気付かない。

ホント、まつ毛長いんだ。
起きてる時は絶対できないけど。イタズラしちゃうぞ。

彼の顔を覗き込んで、ピッとまつ毛を引っ張ってみる。

「う・・・ん。」

起きるかと思ったのに、煩そうに顔をしかめるだけ。
それなら。今度はちょっと大胆に。

「ねぇ、起きて欲しいんですけど。」

彼の寝顔に話しかけながら、
その頬をそっとなぞってみる。
ザラザラとした無精髭。指先がむず痒い。

なんで起きないのかなぁ。
またイタズラしちゃうよ。

あ、ツムジ。
こんなところにあるから、寝グセがひどいんじゃない？

「ねぇ、重いんですけど。」

だんだん彼の重みで、腕が痺れてきた。
そろそろ限界なんだけど、と呟きながら、

私は寝ぐせでモジャモジャの髪をそっと撫でた。

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