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「……また、だね」
幼稚園、小学校、中学校……そして、高校。
いつだって、ひとつ年上のAは俺の一足先に旅立っていく。
そんな背中に、いつからか俺は恋をしていて。
校区があまり関係ない高校でも、バレーのほかにAが居るからという理由でここを選んでいたり。
ここでもまた、俺の気持ちなんか知らないAは俺を置いて卒業していくのだ。
「また、だけど、これが最後かな……?」
Aは寂しそうに眉尻を下げた。
さすがに大学とまでいけば、Aだけに進路を左右されるわけにもいかない。
それは俺もAも十分承知しているのだ。
ましてや、Aの進学先は東京の大学。進学クラスと言えど、俺には到底行けそうにもない大学。
「しばらく会えなくなっちゃうね」
そっと俯いたA。
その足元にぽつぽつと丸いシミが浮かび上がっていく。俺もなんだか泣きたくなってきた。
Aと会えないのはイヤだ。
……でも、Aが泣いているのはきっと、俺が弟みたいな存在だからであって、俺が泣きたいのは、Aが一人の女の人として好きだからで。
それでもやっぱり伝えたくて。
泣きじゃくるAを、俺はそっと抱きしめた。
幼馴染なんだからこのくらいは大丈夫……であってほしい。
「こうし、くん?」
「A、言いたいことがあって」
俺がそう言った瞬間、Aがはっと息を飲む音が俺の耳に届いた。
「俺、」
「待って!!!」
そんな鋭い声と同時に口を思いっきり手でふさがれた。
思わず、喉元まで出かかった『好き』の言葉を飲み込んで、首を傾げる。
……でもやっぱ、言うのでさえ迷惑なのかもしれない。
ごめん、と小さく言ったAは俺の口から手を離した。
「孝支くん……私はね、」
「……うん」
俺は拳をぎゅっと握る。もともと何を言われる覚悟もできていた。だから大丈夫。
そう自分に言い聞かせながら、Aの次の言葉を待った。
「いつまででも、待ってるから。……ちゃんといい大学に進学して、ちゃんとした仕事についてさ」
「え?」
「それから家族をちゃんと養えるくらい立派な男になってから。
――それでも私がいいなら、さっきの続き、話してくれる? ずっと待ってるから」
震える声でそう告げた後、ブレザーの第二ボタンを引きちぎったAは、俺の手にそれを握らせた。それから、俺を見上げて泣きながら微笑む。
「私も、孝支くんとおんなじ気持ちだから……期待してるよ?」
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ちーな(プロフ) - りんさん» 初めまして!リクエストありがとうございます(* ´艸`) 了解しました!激甘書くの大好きなので、もうバッチこいです!!(笑) しばらくお待ちください! (2015年10月2日 23時) (レス) id: 4ce6956417 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 初めまして!いきなりで申し訳ないのですが、リクエストでマッキーを書いて頂けないでしょうか?夢主ちゃん青城3年マネージャーで出来たら激甘で!シチュは部活終わりの部室で★をお願いしますm(__)m (2015年10月2日 22時) (レス) id: 6301628fee (このIDを非表示/違反報告)
ちーな(プロフ) - ういいいいいいさん» 了解しました!投票ありがとうございます! (2015年9月28日 22時) (レス) id: 789c4624a5 (このIDを非表示/違反報告)
ういいいいいい - Cが見てみたいです! (2015年9月28日 21時) (レス) id: 6ab1e7d164 (このIDを非表示/違反報告)
ちーな(プロフ) - 文(ふみ)さん» 投票ありがとうございます! (2015年9月26日 21時) (レス) id: 4ce6956417 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひな | 作者ホームページ:
作成日時:2015年8月23日 20時