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すぐ近くから聞こえたから、きっと隣の席の菅原くんが何か落としたのだろう。
その音は勢い良く落ちたのか、かなり派手な音を立てたわけで、つい今しがた手をあげようとしていた私は思わずその手を引っ込めた。
先生もその物音に顔を上げ、こちらへと歩いてくる。
先生は私の隣か斜め前というところで足を止め、床の物を拾ってから菅原くんの方に手渡した……んじゃないかと思われる。テスト中に横を見るわけにはいかないのだ。
「……それ、俺のじゃなくて山下のですよ」
「あらごめんね、山下さん」
びっくりして先生の方を見ると、先生ははい、と私に何かを手渡した。
それはシャーペンの替え芯。表にはでかでかと『0.3 HB』と書いてあった。
え、これ絶対菅原くんのだって!
そう思ったけれど、テスト中なのだ。
カンニング扱いされるわけにもいかず、ただその替え芯のケースをまじまじと見る。
そうしたら裏側に何か貼ってあるのに気付いた。
「!」
小さな付箋に、『これ使って!』と書いてある。
丁寧で綺麗なこの字は菅原くんの字だ。
どうやら菅原くんはわざと替え芯を落として、先生経由という方法で助けてくれたらしかった。
心の中で合掌をして、ありがたく使わせていただく。
幸い私の今持っているシャーペンも0.3mmだったので、無事に文字が書ける状態に戻った。
良かった。ありがとう菅原くん。
まだ白い解答用紙を一瞥してから時計を見上げる。私に残された時間はあと45分。大丈夫。
古典ならギリギリ全部埋められるだろう。背筋をピンと伸ばして、問題用紙と向かい合った。
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ちーな(プロフ) - りんさん» 初めまして!リクエストありがとうございます(* ´艸`) 了解しました!激甘書くの大好きなので、もうバッチこいです!!(笑) しばらくお待ちください! (2015年10月2日 23時) (レス) id: 4ce6956417 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 初めまして!いきなりで申し訳ないのですが、リクエストでマッキーを書いて頂けないでしょうか?夢主ちゃん青城3年マネージャーで出来たら激甘で!シチュは部活終わりの部室で★をお願いしますm(__)m (2015年10月2日 22時) (レス) id: 6301628fee (このIDを非表示/違反報告)
ちーな(プロフ) - ういいいいいいさん» 了解しました!投票ありがとうございます! (2015年9月28日 22時) (レス) id: 789c4624a5 (このIDを非表示/違反報告)
ういいいいいい - Cが見てみたいです! (2015年9月28日 21時) (レス) id: 6ab1e7d164 (このIDを非表示/違反報告)
ちーな(プロフ) - 文(ふみ)さん» 投票ありがとうございます! (2015年9月26日 21時) (レス) id: 4ce6956417 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひな | 作者ホームページ:
作成日時:2015年8月23日 20時