恋心詰め合わせ【HQ!!短編】

思春期少年少女　【矢巾秀】 ページ21

「可愛い子いねー……」

「え？」

「青城のレベルの高さを知ったわ」


そうため息をついたクラスメートの矢巾はエプロンをはずしながらそう呟く。
ちなみに私は矢巾に片思い中なんだけど……あんまり関係ないか。

文化祭の今日、カフェをやっているうちのクラスには、他校生だってそれなりに多い。
きっとその他校生の人たちの中に可愛い子がいなかったんだ。

それにしても。


「……矢巾、そんなこと考えてんの？」

「うん、え、だって気になるじゃん！ 他校生に可愛い子居ないかなって」


矢巾のその言葉に、私は盛大にため息。
どうして私、こんな人に惚れてしまったんだろう。
いやまあ、男子高校生と言えばそりゃあ色恋沙汰にも興味はあるだろうし、可愛い子を探すのだって当たり前と言ってしまえばそれまでだ。

でもさ、それが片思いの相手だったら……多少なりともヤキモチ焼いちゃうっていうか。


「まあそうだよね、矢巾も男ですもんね」

「何その全てを諦めたような言い方」


死んだ目をして告げる私に、矢巾は苦笑い。こっちはね、心中穏やかじゃないのですよ!!
……可愛い子なんか探さないで、私を見てくれればいいのに、なんて。
そんなことあり得るわけがないから、私はため息をついた。

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