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「あ、衛輔!」
俺の姿を視界にとらえたAは、分かりやすくぱあっと表情を輝かせた。
そこにいる猫のあごのところを撫でながら、ご機嫌そうに口許を緩ませる。
そんな姿に俺は惚れただなんて、本人には口が裂けても言えないけど。
「さっきこの子が足にすりよって来たの。付いていったらこんなとこに来ちゃった」
へへ、と笑いながらAは俺に説明した。コイツはいつもこんな感じだ。
自由奔放って言葉が似合う彼女こそが猫のようだと、突然いなくなる度に思う。
「……ったく、毎回毎回心配するから一声掛けろってんのに」
俺が呆れながらAにそう告げる。
猫にばいばいっ、と手を振った彼女は、去っていく猫の後ろ姿から俺へと視線を移した。
ごめん、と眉尻を下げたAは帰ろうと俺に告げ、いましがた俺が歩いてきた塀の上を歩き出す。
それから路地の行き止まりのところまで来ると、とりゃあっ、と戯けたような声を上げて飛び降りた。身軽なやつ。
足がじーんとなるのを避けようと慎重に降りた俺を見てAが笑う。
もう今日はどこにも行くな、という意味を込めて、Aの指に指を絡めた。
路地を出て、いつも通りの道を二人で歩く。
「……衛輔はさ、」
「ん?」
「わたしがどこに居ても、絶対に探し出してくれるよね」
Aはそう言って笑った。
そりゃあだって、部活終わるまで待たせてるのは俺だし、Aに何かあったら困る。
まあ、一番の理由は何よりも、
「……Aが好きだからな」
「わたしも好きだよ」
Aは繋いだ手をぶんぶんと振る。ちょっぴりガキみたいなその仕草も愛おしい。
それからAはあっ、と小さく呟いて、楽しそうに言った。
「なんかさ、衛輔って王子様みたい。どこにいても探し出すなんて、ちょっとロマンチック」
「じゃあAはおてんば姫か、」
俺が笑うと、おてんば言うな! と肘で俺を小突いたA。
猫みたいに自由奔放で、世話のかかるおてんばなお姫さまだけど、俺にとっては最高のお姫さまだ。
なんて、彼女の楽しそうな横顔を見て思った。
青い春に別れを告げて 【菅原孝支】→←恋愛イニシアチブ 【夜久衛輔】
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ちーな(プロフ) - りんさん» 初めまして!リクエストありがとうございます(* ´艸`) 了解しました!激甘書くの大好きなので、もうバッチこいです!!(笑) しばらくお待ちください! (2015年10月2日 23時) (レス) id: 4ce6956417 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 初めまして!いきなりで申し訳ないのですが、リクエストでマッキーを書いて頂けないでしょうか?夢主ちゃん青城3年マネージャーで出来たら激甘で!シチュは部活終わりの部室で★をお願いしますm(__)m (2015年10月2日 22時) (レス) id: 6301628fee (このIDを非表示/違反報告)
ちーな(プロフ) - ういいいいいいさん» 了解しました!投票ありがとうございます! (2015年9月28日 22時) (レス) id: 789c4624a5 (このIDを非表示/違反報告)
ういいいいいい - Cが見てみたいです! (2015年9月28日 21時) (レス) id: 6ab1e7d164 (このIDを非表示/違反報告)
ちーな(プロフ) - 文(ふみ)さん» 投票ありがとうございます! (2015年9月26日 21時) (レス) id: 4ce6956417 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひな | 作者ホームページ:
作成日時:2015年8月23日 20時