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「ちッ…くしょう!!」


ガツン!と壁を殴り付けた拳は、僅かな痺れを伝えるだけで何も起こす事は無かった。
衝動に堪えきれず俺は頭ごと壁に押し付け、力なくその場に座り込んだ。

あと少しで、あと少し、

あとほんの1歩のところまで行ったのに…!


どうして俺は、こんなに無力なんだろう。今まで上げてきたレベルは、一体何の為に存在したというのだ。

もう、嫌なんだ。こんな風に、いつまでも縛られ続けるのは。
SAOはもう存在しない。かつて1万人もの人間を縛り付けたあの魔のデスゲームはもう存在しないのに。



――あの、真っ黒な装備を纏った誰かは…もう、解放されたのだろうか?
そいつにとってのSAOは、もう終わった過去の事なのだろうか…?


(そうであればいいと思った。いつまでも縛られる人間は、これ以上いなくていいと)



















元の宿で目が覚めた時、時間は午後3時になっていた。
アナウンスが言っていた、メンテナンス終了時間だ。俺はどうやら、メンテナンス中だけ、管理者のいる世界樹に転移させられていたらしい。

…彼処が世界樹の頂上だとは、あまり信じたくない事実だった。
グランドクエストなんか存在しない。彼処にあるのは、ただ無感情にあるオフホワイトだけ。

――これは、明らかな犯罪だ。恐らくSAOのサーバーは削除された筈。それをコピーするだけでなく、ありもしないグランドクエストなどを仄めかし、プレイヤー達を騙している。
グランドクエストがいつまで経ってもクリアされないのは、きっと初めから出来ないようになっているからだ。
それをプレイヤー達が知ったら、一体どうなるだろうか…。


端に置かれた石のベンチに座り道行くプレイヤーを眺めながら、俺は小さくかぶりを振った。
こんな事をいつまでも考えていたって埒があかない。
たとえ不可能だと言われても、それを越えなければ終わりは訪れない。
立ち上がろうと顔を上げた、その時、







俺は、数m先でシルフの少女と話している、真っ黒な装備のスプリガンを見付けた。

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ラッキーアイテム

革ベルト


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ワタリ鳥(プロフ) - ワタリ鳥です。パスワードを忘れてしまってリンクを繋げられないのですが、続きを書いています。長らくお待たせしました。part5をお調べください (2017年12月31日 12時) (レス) id: ca885edea0 (このIDを非表示/違反報告)
天宮 - 続きをみたいです (2016年1月14日 15時) (レス) id: c71c84de2f (このIDを非表示/違反報告)
- もっと続きが見たいです 楽しみにしています (2015年9月12日 8時) (レス) id: 8a2d066a77 (このIDを非表示/違反報告)
- はじめまして!結構前から見てました!今頃ですが続きが気になるので書いて下さいぃ!お願いいたしますっ! (2014年4月5日 0時) (レス) id: cd7abd2c64 (このIDを非表示/違反報告)
ツバサ - この作品大好きです!更新頑張ってください! (2014年3月1日 10時) (レス) id: da0a1c03c1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ワタリ鳥 | 作成日時:2013年3月8日 17時

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