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「うっ… ぐっ…!?」
絡み付いた何かは容赦なく首を締め付け、体が浮く。息苦しさにもがくが、びくともしない。
腕で引っぺがせないか試してみたが、ヌメヌメした何かは滑って掴めやしない。
やがて、後ろから前にいるナメクジと同じような声が聞こえてきた。
「ったく…オマエ10時間以上眠ってたんだから、そのまま寝てりゃあいいのによ…。
目ぇ離した隙に何してくれてんだか」
「おー、危なかったー。助かった助かった」
「お前が間抜けすぎんだよ」
「かはっ… お、前ら一体…ぁ、ぐっ!」
何故。
この世界では痛みや息苦しさなどの苦痛は存在しない筈なのに。何故こんなに気が狂いそうな息苦しさが、
「はッ… な、せ!」
左手に持っていた剣を真後ろに向けて思い切り振った。
見えなかった為当たるか不安だったが、スパンッ!と手応えのある音。
よし、と思う間もなくどさりと床に落とされ、思い切り咳き込む。後ろではナメクジが耳障りな悲鳴をあげていた。
「あー…ここ全体のペインアブソーバ切ってたんだっけ…」
「ごほっ… 答えろ!お前達は何だ…!?
ここで何をやっている!実験体ってどういう事だよ…!」
「うーん…残念。それには答えられないなあー」
「何でだよ!」
目の前に剣を突き付けているのに、ナメクジはテニスボールサイズのオレンジ色の瞳に、楽しそうな暗い光を浮かべた。
「もう君は、ここから転移するからさ」
その言葉を最後まで聞くより先に
俺の意識は、再び闇に呑まれた。
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革ベルト
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ワタリ鳥(プロフ) - ワタリ鳥です。パスワードを忘れてしまってリンクを繋げられないのですが、続きを書いています。長らくお待たせしました。part5をお調べください (2017年12月31日 12時) (レス) id: ca885edea0 (このIDを非表示/違反報告)
天宮 - 続きをみたいです (2016年1月14日 15時) (レス) id: c71c84de2f (このIDを非表示/違反報告)
舞 - もっと続きが見たいです 楽しみにしています (2015年9月12日 8時) (レス) id: 8a2d066a77 (このIDを非表示/違反報告)
黒 - はじめまして!結構前から見てました!今頃ですが続きが気になるので書いて下さいぃ!お願いいたしますっ! (2014年4月5日 0時) (レス) id: cd7abd2c64 (このIDを非表示/違反報告)
ツバサ - この作品大好きです!更新頑張ってください! (2014年3月1日 10時) (レス) id: da0a1c03c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ワタリ鳥 | 作成日時:2013年3月8日 17時