たとえ今日という日を忘れても ―ソードアート・オンライン― Part4

―55― ページ1

・



――ALO世界最大の街、アルン。
その街は、想像していたものより遥かに美しく壮大な場所だった。様々な姿の種族達が闊歩し、中心にはその存在感を主張する世界樹。
世界樹の上に行くには、内側に入り、そこにいるガーディアンの軍団を倒さなければいけないらしい。どうやら、そいつらが滅茶苦茶強いみたいで…。

今から世界樹に乗り込んで試してみたい気持ちもあるが、それは完全に自殺行為だ。
俺はHPを0にする事なく頂上に辿り着かないといけない。それには…恐らく今の状態じゃ不可能だろう。暫く、ここを拠点にしてレベリングをする必要がある。


…今更だが、多くの人間が普通にプレイしているゲームで、SAOの時みたいに閉じ込められているというのが、かなり奇妙な話だ。
何故なのか、という疑問を持った事は勿論ある。だけど、結論は1つしか出なかった。
ALOが、SAOサーバーのコピーだという事。

“SAOが今どうなっているのか”という疑問を、俺は何度も抱いてきた。
だが、それの答えは、きっと初めから出ていたんだ。至極当然、当たり前の答えだった。
――SAOがクリアされていなかったら、ALOなんて存在していない筈だから。あんな事件があった後フルダイブ型仮想世界が未だ存在する事でさえ驚きなのに、MMORPGがあるなんて。

俺が、閉じ込められている身なのにこうやって自由に動けるのは、何者かの意思だと思っている。
そしてそいつはSAOサーバーのコピーに関わる人間で…きっと何かを企んでいる。
他のプレイヤー達は、そんな事も知らずに遊んでいるという訳だ。

…――つまり、世界樹の頂上に行き、管理者に接触出来れば、俺が1年以上にも渡り求めてきた答えがわかる…。



「まだまだだけどな…」


深い溜め息と共に呟けば、風がそれを浚っていった。

…取り敢えず、宿を探して寝ようか。起きたら店でアイテム整理をして、フィールドに駆り出そう。
俺は宿を探す為、アルンの石畳を歩き始めた。



．

―56―→

ラッキーアイテム

革ベルト

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す