日常編 ページ25
○同棲してる時のお話○
初めて喧嘩をした、というよりも
一方的に荼毘が怒りを顕にした
理由は単純明快
Aがたまたま残業になり、同僚である男性職員に送られてきたのだ
「俺にアイツを殺させてぇのか？」
静かに怒る荼毘
別に何も無い故に、勝手に嫉妬され
しかも仕事終わりに理不尽な怒りをぶつけられた事が
Aにとって珍しく癪に触れた
『もういい』
何を言っても理解してくれない荼毘に嫌気が差し
彼を個性で拘束する隙に家を出た
走る訳もなく、ただ今は荼毘と距離を置きたくて
頭を冷やしたくて。なんて思っていたら雨が降り注ぎ始めた
『きれい』
外を知らなかった自分にとって、雨という気象現象は今ですら美しく思う
春先の雨に肌を寒さに震わせながらも空を見上げた
顔に落ちた雨粒は頬を通り顎を伝う
「冷えるぞ」
『なにしてるの』
精一杯の嫌味だったのに
雨で体温を奪われきった中で、荼毘の腕に引き寄せられる
気に食わなかった筈だけど、抵抗する気も諸々なくて
荼毘の中は暖かかった
「…………俺が悪かったよ」
『当たり前じゃん』
耳元で舌を打つ音が聴こえた
落ちてきた言葉は意外にも素直だったが、不本意だったらしい
雨を感じたくて、見上げたらキスをされた
何度も何度も、離れてはまた繰り返されていく
息苦しくなってきて、胸元を押し返すも
そのまま壁に押し付けられた
いつもの間にか、足元にできた水たまりが跳ね上がる
瞬間だけ離れて、私の逃げ場を失わせて、またキス
雨に濡れた荼毘はまるで泣いているようだった
「出ていくのやめろ」
『荼毘がわからず屋なんだもん』
「閉じ込めて欲しいなら話は別だがな」
謝罪の旨を述べたくせに、結局彼は我儘である
手を取って、家に向かって。
2人仲良く傘も持たずに肩を併せあ歩く
「あんま妬かせんなよ、俺がどんだけAが好きかわかってんだろ」
ええ、そらもう。
毎日毎日、良くも飽きずに
どろどろに溶かされてしまいそうなほどの愛を荼毘は囁いてくる
どれだけ自分が愛されているか、彼に大切に思われているかなど
自覚してしまいそうなほどに自惚れているのだ
『だって荼毘の勘違いだもん』
「減らねえ口」
かぷり、繋がれていた手を引かれて再び塞がれた
.
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しおむすび(プロフ) - 待ってました！本当に大好きな作品でまた読めるのが嬉しいです！ (6月30日 2時) (
レス) @page32 id: 2152d546a1 (このIDを非表示/違反報告)
シロヌコ(プロフ) - ウワァァン続きは何処へえええ、、のタイプな作品すぎます、、この作品を生み出してくれてありがとう (2023年1月22日 1時) (レス) @page29 id: 09da8bad9a (このIDを非表示/違反報告)
カキフライ - しっかりした終わりの証明を楽しみにしています…！ (2023年1月6日 20時) (レス) @page29 id: 27a0f136f2 (このIDを非表示/違反報告)
まろん - 最高です！！！！思わずうるっと来てしまいました！更新してくれると嬉しいです！！ (2022年10月28日 22時) (レス) @page29 id: 8c92803490 (このIDを非表示/違反報告)
rusya.(プロフ) - すきィィィィィイイイイイイ (2022年10月20日 6時) (レス) @page29 id: f22ef2da16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リオハ | 作成日時：2021年9月24日 1時
