10-35 真後ろから ページ35
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兄がスアを送るために家から出て行った後、ウニョクと二人きりになってしまい、正直気まずさしかない。
やっぱり兄は私の取った可笑しな行動に気づいている。
家を出る時に、帰って来るからと言ったんだけど、きっと“あえて”言ったんだろう。
可笑しいと思っているはずなのに、あの場をフォローしてくれたのも兄だった。
そもそも、私が考え事をするとどうしてあんな空気になるんだろう。
皆が心配してくれる。特に家族は尋常じゃないほど。
心配しなくても大丈夫なのに。別にそれを望んでる訳じゃないのに…。
だから余計に心配を掛けたくない。
私がテーブルの上の食器を集めている時、ウニョクは携帯を見ていた。
相手が誰なのか分からないけど、楽しそうじゃない事だけは間違いなさそう。
そんなウニョクをリビングに残して食器を持ってキッチンに移動した。
食べる気にならなかったケーキは、せっかくウニョクと兄が買って来てくれたのだからと思って無理やり腹の中に収めた。
そのせいか今も少し吐き気が残っていて気持ち悪い。
さっきは場を取り繕うのに必死だった。
場が和む事だけを考えて、疑問に思った事を頭の隅へ押しやった。
兄がフォローしてくれたのは何故だと疑問を抱いた事すらも考えなかったものとしようと決めた。
私にとって一番大切なのはその場の空気なのだと思う。
変な空気になるのが嫌。…というか落ち着かない。絶えられないのだ。
だから今考えているのは、ウニョクと二人になった今の空気をどうするか。
さっきのこと聞かれるかな。昨日の今日でやらかしてるもんなぁ…。
溜め息が出た時だった。
「僕も手伝うよ」
ウニョクの声がして振り向いた。その時に誤って手に持ってた食器を落としてしまった。
ガチャンという大きな音に驚いて慌てて食器を拾い上げる。
『っいッ・・』
どうやらさっきの衝撃で下敷きになった食器が割れたようで指を切ってしまったみたい。
「大丈夫!?」
「うん!大丈夫!」
「笑ってる場合じゃない!手貸して!」
手を掴まれ、そのまま泡を洗い流してくれる。
謝ろうと思って見上げたら、ウニョクの顔がすぐそこにあって驚いた。
「大丈夫?」
真後ろからするウニョクの声に、私は頷くので精一杯だった。
ハグは平気だけど、後ろからはちょっと。この距離…近いかも。
恥ずかしさの中に、これでとりあえずさっきの事を聞かれずに済むという安堵感もあった。
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モジョ(プロフ) - きゅあえるさん» >きゅあえるさん☆ コメントありがとうございます♪ 読み返していただけてるなんて嬉しいです!そして恥ずかしいです…。文庫化されるほどのものではないです〜(><) 最初の方は特に文章が下手過ぎるので内容は変えず、ちょこちょことお直ししようと思っています! (2012年12月23日 2時) (レス) id: 7f5f6342c2 (このIDを非表示/違反報告)
きゅあえる(プロフ) - こんにちは。楽しく読ませてもらってます。このお話大好きです。今ね、最初から読み返してます。1日1章ずつ^^ 細かい心理描写がリアルで読んでて引き込まれます。謎も気になる!文庫化してほしいな〜そしたら持ち歩いていつでも読めるのに♪ (2012年12月19日 22時) (レス) id: 3c4b0c098d (このIDを非表示/違反報告)
モジョ(プロフ) - >チョア☆さん☆ 初めまして!コメントありがとうございます!チョア様!私めが神だなんて勿体ない御言葉過ぎます!(◎_◎;) でも内心嬉しすぎてはしゃいでおります!ありがとうございます! (2012年5月8日 22時) (レス) id: 975c5744e9 (このIDを非表示/違反報告)
モジョ(プロフ) - >あいさん☆ 11の方にコメントしときます( ´ ▽ ` )ノ (2012年3月11日 21時) (レス) id: 975c5744e9 (このIDを非表示/違反報告)
モジョ(プロフ) - >あいさん☆ オンニとしても1人の時間を楽しむことをオススメします♪ 結婚はまだまだ先でも大丈夫ですよ♪(´ε` ) 色々楽しんでくださいね♪ 妄想は一生止められないかも(笑) (2012年3月10日 21時) (レス) id: 975c5744e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:モジョ | 作成日時:2012年2月26日 19時