愛傷−それは愛した証− Part.2

§Eighty-one ページ31

＊

＊

＊

・

・

・

・

耳元に当てると、男の声。

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

Aは顔を手で覆ってはいたが、

涙が隙間から零れ落ちている。

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

「A、今どこ?帰ってきて………

もう、あんなことしないから……」

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

優しそうな声だった。

だけど、寂しそうに声が震えている。

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

「あんなことしないって約束するから……

俺のところに戻ってきて?お願いだから――――……」

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

新品のｽﾏﾎを壊しそうな衝動に駆られた。

約束?

・

・

・

・

・

・

・

・

・

お前はその約束、守れなかったんだろう?

だから、こうやってAが傷ついてるんだろ?

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

守れないんだったら、最初から約束するなよ。

約束も守れないくせに、お願い何て……

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

大「俺、Aの彼氏だけど……」

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

電話越しの声はﾋﾟﾀﾘと止まった。

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

「彼氏って……」

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

大「俺が今、Aと付き合ってるの。

だから……電話かけてくるな。もう、傷つけないでくれ。」

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

怒鳴りたかった、この手で殴ってやりたかったが

俺は落ち着いて一つ、一つ喋っていく。

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

「それは……Aが言ったんですか?」

大「えっ……」

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

「Aは俺から離れられない。必ず………

俺のところに戻ってくる。

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

俺を見捨てるなんてAはできない……

Aは必ず自分から俺のところに戻ってくる。」

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

・

自信ありげな言葉を最後に

その電話は切れた。

・

・

・

・

＊

＊

＊

§Eighty-two→←§Eighty

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す