Time goes by ４

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目を伏せた神山くんの視線は、
床に置いた私の絵にある。


ここには沢山の絵がひしめき合ってるのに、
どうして、これだって分かったんだろう。


「うん・・・」


「上にかけへんの？
あっこ、空いてるやん」


「ここでいいの」


「そうなん？
相変わらず、欲ないな」


息が詰まりそう。


ここで私に強引にキスしたこと。

神山くんは忘れたのかな。


「俺は好きやな。この絵」


「ありがと・・・」


「お世辞とちゃうで」


神山くんが、こっちに足を踏み出すから。


「うん・・・」


一歩下がって、すぐ後ろにある窓の外に視線を外す。


ただでさえ狭いのに。


逃げ場なくて、
この濃ゆい空気に、窒息しちゃいそうだ。


「俺と二人なん、そんな辛い？」


「え？」


「シゲとおると、あんなに自然に笑てんのに。
俺やと、気持ち、明るくならへん？」


「重岡くんといると、なんか気楽だから・・・」


「同じ元彼でも、えらい違いやな」


予想を遥かに超えた神山くんの言葉に、
動揺が凄まじい。


「シゲにはあんな気ぃ許してんのに。
俺には緊張した顔してる」


不服そうに呟く神山くんは、ずるい。

こんなの、
まるで、やきもち妬いてるみたいに聞こえる。


そういうつもりは全くないんだろうけど。

こういうの、タラシって言うんだ。


「なんか言うてや。
俺が恥ずいやん」


「えっと。
神山くん、私と付き合ってたこと、
覚えてたんだね」


「はあ？
何言うてんの？
覚えてるに決まってるやん」


神山くんが、
悔しそうに、くしゃって顔歪めた。

悔しそうな顔してる。


この表情が大好きだった。


それは今も同じで。

こんなにも胸が掴まれてる。


「ちなみに、ここで、
こっそりキスしたんも、覚えてるから」


「・・・私も覚えてるよ？


だって、人生二度目のキスだったんだから。

ファーストキスも、神山くんなんだからね。


心の中でだけ、そう答える。


「なあ？あんまし分かってくれてへんみたいやから。
こん際、はっきり言うな。
俺、今、シゲにめっちゃ妬いてる。
あんな態度取られたら、正直きつい」


「・・・友達なのに？」


聞き返す、声が掠れる。

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