Time goes by

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高校ん時も、そうやった。


あいつが、
立ち入り禁止の屋上で、
毎日一人でぼっち飯してんの知って。


俺、心配でたまらんなってもうてん。

俺が転校して来る前に飛び降りた先輩がおるねんて。


彼女は、
植物人間になってしもて、
その後のことは誰も知らんらしい。


神山がその先輩みたいに、
ふらっと空に溶けてまいそうで。


偶然を装って、屋上に通うようんなったあの頃。

俺は・・・


じっと見つめてる俺を、
神山が振り返った。


嫌な顔して、去られる、思ったのに、


神山は、桟橋に腰かけて、
海に向かって、足をぶらぶらさせてる。


その仕草が、まるで誘ってるように映って。


吸い寄せられるように、
桟橋を歩いて、

神山の隣に腰掛けた。


こうやって、足投げ出して並んで座ってると、

俺はどうしても、
高校の時の屋上での時間を思い出してまう。


あの時、俺が自分の気持ちに気付いてたら。

今は違ってた？


そんなわけないか。


結局、俺らを待ち構えてた運命はおんなじ。


けど、友達なんてあやふやなもんやなくて。


あの頃、ちゃんと恋人になれてたら。


後悔したって、もう遅いよな。


それよりも。

今の方がずっと大事や。


「神山、そんなカッコで寒ないん？」


「ちょっとだけ。
今日は涼しいな」


「なら、これかける？」


パーカー、膝にかけてやったのは、


ショートパンツから覗く太ももの白さに、
俺が目のやり場に困るから。


「ありがと」


断られるかと思ったけど、
神山はおとなしいしてる。


胸がきゅっとなって。

やっぱ、この気持ちを無かったことになんか、出来へん。

今更、引き返されへん、て、強く、そう思う。


「・・・しげと、付き合うん？」


漆黒の海に視線向けたまんまで、

聞いた声は、自分のもんちゃうみたいに、
かわいてた。


「・・・なんでそんなこと聞くん？」


「海ん中で告られてたやん」


「聞いとったん？」


「そら、あんなでっかい声で叫ばれたらな。
静岡中に響いとったんちゃう？」


しげのこと、見くびってた。

今の関係壊すぐらいなら、
告白なんか、ようせんやろって。

俺、あほやな。

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