恋に効かない時間グスリ【Hirano.S】 (ページ8)

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運命の再会？ページ8

「おい！A！なんなんだよ！」

ギャーギャー言ってる優太を
女の子らしくない力で引っ張って
学校の最寄り駅までやってきた。

定期を出すために優太のカバンからパッと手を離すと

「ッテ！！！っぶねーな！……おいおい！待て待て！」

ここまで自分のことを引っ張ってきたくせに、
置いていくようにズンズン改札を通り抜ける私に
遅れないようにと
慌てて追いかけてくる優太。

ホームに電車が来ていたら飛び乗りたかったけど
あいにく一本前の電車が行ったばかりで、

電光掲示板には２つ前の駅を出たところっていう表示が出ていた。

「なあ、お前ぜってー転校生と知り合いだろ」

黙って隣に並んだ優太が
思い切ったように私の顔を覗き込んで聞く。

「…しらない」

「嘘つけよ。お互いに下の名前で呼んでたろ。名探偵岸にはお見通しだっつーの。」

何が名探偵岸よ。

あんだけ不自然なやり取りしたら
「しらない」じゃ誤魔化せないことくらいわかってる。

でも、

「…あのさ」

「おう」

「私がずっと忘れられなかったひと……」

「えっ……」

「その人が紫耀くんっていったらどうする？」

勿体ぶってそんな聞き方したけど、
優太やナカジからしたらどうでもいいことだよね。

すぐに返事をしない優太に

「どうもしねーよって感じか。」

精一杯の作り笑顔を向けたら

「いや！！俺それならスゲー本気で応援する！！！ぜってー2人をくっ付ける！！」

馬鹿？って言いたいくらい
真剣な顔した優太が
興奮気味に私の手を取って

「良かったな！！！運命の再会じゃん！！！」

だって……。