言えない ページ6
休み時間になって
あっという間に紫耀くんの周りに人だかりができる。
「オイオイ、何なんだよ。あのビューティフルボーイは」
そんな様子を見て
なぜか不貞腐れてる優太。
「え、なに？岸、転校生に嫉妬？(笑)怖いよ、Aー！この男こわいー！」
「ちげーーわ！チッ、俺も金髪にもどすかなぁ」
ちょっと前まで金髪だったんだけど
黒髪に変えたばかりの優太も
たしかに誰が見てもイケメンなんだけど
キャラが強くて、どうしても残念な感じに仕立てられてしまう。
「それにしても凄い人気。でも分からなくないよね。っていうかむしろわかりみがすごい。あれは王子だよ。どっかの国の王子」
優太の机を椅子にしてるナカジが
腕を組んで遠くの紫耀くんの席をみて頷く。
「ハッ！なに？お前らも優太派じゃなくて、あの、転校生派なの？」
「あったりまえ！誰があんた派になんかなるのよ。まぁでもやっぱり私は隣のクラスの永瀬くん派！Aは？あぁいうタイプが好き？」
ナカジがウキウキで私に問いかける。
「ああいうタイプもなにも、
私が常々あなた方がドン引きするほど
愛を語ってた忘れられない彼、張本人です！」
なんて言えないから、
「う…うん、まぁ、そうかな？」
誤魔化すしかなかった。
「まっ！でもアレだよな！Aは忘れられない運命の彼がいるからな！あんな転校生に心揺らがないよなあ！」
「うるさー！優太うざいよ？ね、A」
「うん、うざい笑」
「ハァー！！！なんかナカジに言われるよりつれえーーー！！！」
優太が突然大声あげるから
クラス中の視線が私たち3人に注がれる。
「もう！！優太うるさいから！」
ナカジの言葉に
「あ、いつもの3人ね」って言う空気が流れ
なんでもなかったように教室に騒がしさが戻る。
そんな中、驚いた顔でこっちを見てた人がいたとも知らず…
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作者名：こまち
| 作成日時：2018年11月22日 22時
