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番外編:重なる体温 ページ42



唇から伝わる熱は

熱くて



ふわふわした感覚のまま、
微睡むように瞼を薄く開くと

私を見下ろす紫耀くんがいた。








こんな体勢で紫耀くんの顔を見ることもないけど

こんな態勢でも綺麗な顔に見惚れていると、


「なに?(笑)」




ちょっとだけ怖い顔だった紫耀くんの頰に
ニッとえくぼが刻まれた。




「ううん、なんでもない…」


なんだか恥ずかしくて

思わず顔を背けるけど


「ねぇこっち見て」




すぐに紫耀くんの手で真っ直ぐ向かされて
目があったまま
またまた降ってくるキス。




唇が離れると
紫耀くんは頭の先から私を包み込むように抱きしめて


「A……」


掠れた苦しげな声で名前を呼んだ。




「なーに?」




頰を寄せたぶ厚い身体の中で、紫耀くんの心臓がドクドク鳴ってるのが聞こえる。




心地よいリズムに耳を傾けながら返事をすれば


「……いい?」





言いにくそうに絞り出された言葉。




言葉は少なくても
それが何を指しているのかなんて
私にもわかっていて





返事をするかわりに
紫耀くんの背中に手を回した。








緊張で張り詰めた空気の中、
ほんの一瞬だけ
優太とナカジはどうしてるんだろうって
…そんな考えが浮かんだけど



「A、無理だけはしないで?」
「…大丈夫」




「痛い?」
「…平気っ」








次の瞬間には何も考えられなくなっていた。

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作者名:こまち | 作成日時:2018年11月22日 22時

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