恋に効かない時間グスリ【Hirano.S】 (ページ4)

今日:1 hit、昨日:18 hit、合計:261,111 hit

効かない時間グスリページ4

それからというものの、
頭の中から消えない彼のせいで
中学の3年間一度も好きな人が出来なかった。

そのまま、地元から離れた高校に入学して

「そんなにいい奴だったワケ？クッソ見てみてぇわ！」
「青春の無駄遣いだねー」

岸優太と中嶋栞(通称ナカジ)という親友は出来た。

忘れられない人がいるって言っていつも私が
ネチネチ話すから
呆れながらも笑う2人。

小学校の卒アルを見せたら
「いや笑顔過ぎんだろっ」
目が細くなるくらい笑ってる紫耀くんをみて優太がツッコむから

「うるさい！優太のくせに！」

私の代わりにナカジが優太を叩いてくれる。

でも次の瞬間私の方を切ない顔で見て

「でもさぁ…A？そんななんも言わずいなくなるやつだよ？どこにいるかも分からないし、これだけ時間経ってるしそろそろ次の恋したら？」

そういうと、

「あ！ほら、見ろ！グラウンド！キラキラサッカー部がいっぱい！ねえ！あの茶髪のやつとかどう？誰か知んねぇけどイケメンじゃね？！」

多分無意識にすごく寂しい顔をした私に
意外と人のことを見てる岸が慌てて空気を変えた。

時間が経てば忘れるよ。

何度も色んな人からそう言われてきた。

でも、時間が経てば経つほどに、
薄れていく彼の記憶が
消えないように、無くならないようにって
必死にしがみつきたくなって

そうこうしてるうちに
周りなんて全く見えなくなるんだもん。