恋に効かない時間グスリ【Hirano.S】 (ページ24)

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気合いの約束ページ24

バスケの試合が終わる。

紫耀くんや、優太のお陰で
男子は見事学年1位となって

体育教師が担任のうちのクラスはブワーッと盛り上がる。

「やった！！見てた？」

嬉しそうな紫耀くんの手のひらがこちらに向いて
とっさに手のひらを合わせてハイタッチ。

正直その前の出来事のせいで
あんまり集中できていなかったけど

「うん！！おめでとう！」

「ありがと！」

前髪が汗で張り付いていても
それをタオルで拭うさまが
かっこよすぎて、

「…かっこいい」

思わず声が漏れる。

「ん？」

周囲が歓喜に騒めく中、
私のこぼした言葉を拾おうとしてくれた紫耀くんが
紫耀くんより背の低い私のために
少し屈んで耳を寄せてくれる。

こんな状態で
「紫耀くんがかっこいいって言ったの。」

なーんて言えるわけなくて、

でも言いたいことはあって

「…体育祭のあと、片付けも全部終わったらここで待ってる」

せっかく寄せてくれた耳に

…そっと耳打ちした。

ちゃんと聞こえたかな？

恐る恐る顔をあげたら
いつもみたいにニッと笑う紫耀くんはそこに居なくて

「うん、わかった。」

真面目な顔して、
私をまっすぐ見つめる紫耀くんがいた。

「紫耀ー！！やったなーー！！」

その直後、紫耀くんは優太に肩を組まれて連れてかれてしまったけど

「なに話してたの～」

一部始終を見られていたナカジが
へへへっと笑って近づいてきて

「体育祭のあと、ここで待っててって…」

「ひょー！じゃあ、今日は岸と2人かぁー！残念だなぁ♪」

そう言うと大げさに泣くふりをする。

「いや、私が泣いて帰るかも…」

勢いで取り付けた約束の時間まで

…あと５時間…。