恋に効かない時間グスリ【Hirano.S】 (ページ18)

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好きなところページ18

ショーケースに並ぶドーナツを
紫耀くんと一緒に眺めてる。

「すげーいっぱいあるんだね！」

嬉しそうに目を輝かせてる横顔は
小学生のころ、一緒に駄菓子屋さんへお菓子を買いに行った時を思い出させた。

当時はこんな、垢抜けた都会の男の子って見た目じゃなかったはずなんだけど

一見取っ付きにくそうにも見える外見とは違い
やっぱり根本は何にも変わっていなくて

「こんなあると迷っちゃうね！Aちゃんのおすすめはなに？」

嬉しそうな笑顔のまま私を見るから

「あ、私はねっ、このハニーミルクってやつ！」

なんだかもう、
私まですっごく嬉しくて。

ここのお店で決まって食べる
お気に入りのドーナツを教えたら

「じゃあ俺それにする」

当然のようにそれを頼む紫耀くん。

「いいの？チョコとか、クリームのとか、もっと豪華のにすればいいのに。せっかく100円なんだし」

私がそう言えば

「んー、でもAちゃんが美味しいやつ食べてみたい」

さらっとそんなこと言ってのけるから

「美味しくなくても知らないよ…」

なんて、可愛げのない返事しかできないけど

そうやって、
相手のことを知ろうとするところ
勝手にドキドキさせられて、

好きだなぁって思う。