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A視点
ぐちゃぐちゃした紫色の物体が
私を追いかけてきている。
何秒？何分？何時間？
奇妙なことに、ソレはさまざまなものに化けて
囁いてくる。
私の名前を猫なで声で囁いては、
狂ったかのように叫ぶ。
ずっとずっと、走って逃げ続けた。
先の方に、私を呼ぶ声がする。
その声だけを頼りに走った。
『……はあっ、はあっ………誰、誰なのっ？！』
〈こっちだよ、A。ほら、おいで。〉
聞いた事ある声、だと思う。
ただ、酷く歪んでいるような声だった。
走って、走って、走り疲れて、その場に
へたりと座り込んでしまった。
〈よく頑張ったね、おつかれ、A。〉
暖かな手が、私の頭を撫でた。
ガバッと顔を上げて、その声の主を確かめると、
それは、大好きなママだった。
『……ま、ま……？』
ニコッと私に微笑み、私を抱きしめた。
『………あはは、どうしたの？ママ？
くすぐったいよ〜』
ママの長い髪が私の首を掠める。
綺麗な艶のある髪は、少し手で触ると
わたあめのように溶けてしまった。
『………あ、れ………なんで………』
ふと前を見ると、私を抱きしめていたはずのママは、
扉にもたれかかって、お腹の方から
赤黒い血を流していた。
『………あ………あ、ぁ……』
そのママのそばにいた幼い頃のお兄ちゃんは、
私のほうに近寄り、私の肩を持って囁いた。
〈お前のせいだ〉
『………え……？…や、違う、違うのっ………』
〈皆んな、信じていない。〉
『そ、そんなこと、ない！』
叫んだと同時にバッと立ち上がると、
右手に重さを感じた。
おそるおそる右手を確認すると、
血に汚れた包丁を、私は手にしていた。
『……やだ、やだ！』
急いで手放すと、包丁はまた、
溶けるように消えていった。
〈大嫌い、大嫌い、死んでしまえばいいのに。〉
さっきまでいなかったはずのお姉ちゃんが、
私の横にいた。
ぐるぐると視界が回って、歪んでいく。
『……ごめんなさい……ごめんなさい……』
私は、ずっとソレしか言えなかった。
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苺 - 面白いです。更新頑張ってください。 (12月22日 10時) (
レス) @page31 id: 6d8d02440e (このIDを非表示/違反報告)
クラゲ - めっちゃ面白いです！これからも更新がんばってください！応援してます！ (12月4日 20時) (レス) @page29 id: a121ad2e0e (このIDを非表示/違反報告)
pgAGOuFv2Do51qQ(プロフ) - 面白かったです。 (11月20日 17時) (レス) id: 1b045520ed (このIDを非表示/違反報告)
kakarika(プロフ) - 面白かった！！また見ます！ (11月13日 21時) (レス) @page27 id: 833a0352da (このIDを非表示/違反報告)
ぽや - めちゃ面白そうです！！これからですが応援させていただきます！ (11月12日 14時) (レス) id: f42c999625 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒白の猫 | 作成日時：2023年8月10日 23時
