20 ページ21
A視点
朝、アラームが鳴るより前に目が覚めて、
洗面所に向かうと、目眩がした。
『………あ、れ………』
今日は、全校集会、あるんだけどな……
しゃがみこんでしまって、上手く立てなくなった。
ぺたぺたと手を使って、体温計を取ってきて、
体温をはかると、37.8という数字が現れた。
『………ねつ、でてる………』
中学3年生になってからは、初めてだった。
大きくなって、少しは体が丈夫になったかな、と
期待した私とは裏腹に、現実はなんとも
残酷なんだろう。
『…………だれか………』
藁にでもすがるように、1番近くのドアを叩いた。
誰の部屋だろう？
分からない、苦しい。
だれか、いますように。
アクア「…………誰だ？」
眠そうな声で、カチャリと扉の音を立てて
出てきたのは、お兄ちゃんだった。
『……おにーちゃん………』
アクア「A？…………どうした？！」
しゃがみこんでしまっている私を見て、
お兄ちゃんは慌てて駆け寄ってきた。
『………お兄ちゃん………ごめんなさい………』
アクア「………いいって、Aは
何も悪くないから。」
私を抱き抱えて、部屋まで連れていってくれた。
さっきまでいたベッドにまた寝転んで、
お兄ちゃんは体温計と冷えピタを持ってきた。
アクア「ほら、体温計って。」
『………もう……はかった……37.8………』
アクア「やっぱり熱でてるよな、連絡しとくから、
寝てて良いぞ。」
手際よく私に冷えピタを貼って、
そのまま部屋を出ていった。
どうしてかはわからないけど、体調の悪い時は
寂しくなりがちだ。
だからと言って、誰かに迷惑かけてしまうのは嫌だ。
流れてきた涙を拭い、枕元に置いてある
ウサギのぬいぐるみを取り出して、
私はそのぬいぐるみを抱きしめたまま眠りについた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 904人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
苺 - 面白いです。更新頑張ってください。 (12月22日 10時) (
レス) @page31 id: 6d8d02440e (このIDを非表示/違反報告)
クラゲ - めっちゃ面白いです！これからも更新がんばってください！応援してます！ (12月4日 20時) (レス) @page29 id: a121ad2e0e (このIDを非表示/違反報告)
pgAGOuFv2Do51qQ(プロフ) - 面白かったです。 (11月20日 17時) (レス) id: 1b045520ed (このIDを非表示/違反報告)
kakarika(プロフ) - 面白かった！！また見ます！ (11月13日 21時) (レス) @page27 id: 833a0352da (このIDを非表示/違反報告)
ぽや - めちゃ面白そうです！！これからですが応援させていただきます！ (11月12日 14時) (レス) id: f42c999625 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：黒白の猫 | 作成日時：2023年8月10日 23時
