催涙 【宮侑】

07 誰 ページ7

.



いくらメッセージを送っても既読がつくばかりで返事が返ってこない。急にアホらしく思えた俺はソイツとのDMの画面を閉じようとした。まさにその時。


『私は侑の元カノの水河Aです』


送られてきたメッセージ。俺の元カノ？いや、だから俺彼女いたことないってゆうたやんけ。冗談言うのも大概にせえよ、とブツブツと愚痴を垂れる。

てか、そもそもお前誰やねん。水河A？元カノどころか聞いたこともないAやねんけど。


『いや、誰。』


画面を閉じてしまえばいいものを、また返事をしてしまう俺もなんやかんやでおかしいと思う。

するとまたすぐには既読が付くものの、なかなか返事が来ない。俺は立て続けにメッセージを送った。


『イタズラ？』
『そろそろ気ィ悪いで』


言い方がキツイかもしれないが、これでもう二度と関わらないで欲しい。俺の元カノだ、なんて。

ようやく返ってきたのは『ごめんなさい』という言葉。そして続けて『さよなら』と来る。


何故か俺はそのさよならが妙に引っかかった。もう連絡しません、さようなら、という単純な意味ではなく何だか別れを惜しむような、悲しみを感じた。


『待って待って、ほんまに俺の元カノとか言うんなら俺のことなんか知ってるよな？』


慌てて送る自分にアホか、とツッコむ。もう二度と関わらなって思ってたくせに自分から絡んでるやん。



『稲荷崎高校出身、バレー部所属、ポジションはセッター』


送られてきた俺の情報は全て合ってる。でもそれは言うたら誰でも知れる基本的なもの。そんなんで元カノなんて言われても、と思っていた矢先、またメッセージが届く。



『部活終わりにコンビニで治とジャンケンして買った方が肉まん奢るっていうのが冬のお決まり。』


え、え、何で知ってるんや。届いたメッセージに驚く。こんなこと知ってるのは部活メンバーくらいしかおらんのに。ほんまにアンタ誰なんや。ーーと、もう一度確認するように送ると、



『だから、あなたの元カノです』



そう、返ってきた。

続く  (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう

←06 DM

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す