催涙 【宮侑】

01 君の笑顔が憎い ページ1

.



『atsumu_105 オケオール。#アホ #声ガスガス』



SNSに投稿された元彼の写真。

大学の友人だろうか、男女7人でカラオケを楽しんでいる様子が3枚ほど載せられていた。

画面がふと消えて真っ黒に変わる。そこに写された私の顔は酷く歪んでいた。それは哀しみであり、憎悪であり、いろんな感情が奥底から込み上がる。



「なんで。」



静かな部屋に溢れる溜息。頬を伝う冷たいモノ。

何で、侑はこんなに楽しそうなん。何で、私だけがこんなにも苦しんでるん？


ーーいいや。何で、侑を憎んでいるんだろう。

侑は悪くない。フッたのは私から。高校卒業したら東京の大学は行くからって、遠距離はきっと無理だろうって、私からフッた、そして別れた。



「私のせいやん。」



憎む権利も悲しむ権利も私にはない。なのに、侑のアカウント探して、適当に作ったアカウントでフォローして監視するように毎日見る。

アホちゃう？

未練たらたら。そんで、勝手に嫉妬して、私は毎日哀しんでるのに楽しそうにしてる侑が憎くって。



ーー本当に、バカみたい。
濡れた真っ暗な画面を見て小さく笑った。

02 彼女の存在→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す