n.60 ページ11
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連れてきてもらったのは雰囲気の良いイタリアン。
いかにも加藤さんのような素敵な人が選びそうなお店だ。
「すごく素敵なところですね、美味しそう...！」
「良かった、見つけた時すぐに北村さんを連れて行きたいなって思ったんだ。」
そうやって朗らかに笑う加藤さんを見て私も微笑む。
運ばれてきた、いい香りのパスタ。
「いただきます。」
久しぶりにきちんと自分で選んだご飯を食べる。
最近はずっと何も考えずにご飯を食べていたから、食事の記憶が朧気にしか無かった。
「...美味しいです。とっても。」
本当に、美味しい。
「...参ったなぁ。」
その声に顔を上げるとそこには、初めて見る困った顔の加藤さんがいた。
「...僕の知ってる北村さんはね、美味しい時はもっと幸せそうな顔をするし、そんなぎこちない顔で笑わないんだよ。」
...どういうことだろう。
「...北村さんにそんな顔させるのも、幸せそうな笑顔作れるのも、たった1人にしか出来ないんだって思い知らされたよ。」
真剣な顔の加藤さんに目と目をしっかり合わせられる。
「北村さん。本当に、美味しい？」
「...美味しいです。本当に。」
でも、
うみと一緒に食べた、私が残業した日の簡単メニューかけるだけのパスタソースのパスタの方が何百倍も美味しかったんだ。
「...中村 海人くん、彼にしか北村さんをそんな顔にさせられないんだよ。」
気づけばボロボロ涙を流していた。
ねぇ、うみ。この感情に名前をつけるなら、
「北村さん、気づいてないかもしれないけど、ここ最近何を話しかけても、ずっとずっと目が合ってなかったんだよ、目はあっていても上の空でずっとずっと心配してた。」
この感情は、きっと、
「好きな人にそんな顔されちゃ、やってられないよなぁ。勝ち目がひとつも見つからない。」
恋、だったんだよ。愛、だったんだよ。
「...加藤さん、私。」
遅れて、加藤さんの言葉を噛み砕く。
理解の追いついていない頭で必死に。
加藤さんがそっと影から四角い箱を出した。
「...突然でびっくりするかもしれないけど、本当はプロポーズしようと思ってたんだ。ずっと北村さんが好きだった。」
空けられた箱にはキラキラ、指輪が輝く。
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ako - 早く続き読みたいです！更新待ってます！！！ (2021年1月11日 23時) (
レス) id: 7b3641e4d9 (このIDを非表示/違反報告)
rina(プロフ) - とても面白くて一気に読んでしまいました！頑張ってください、応援してます！！ (2020年10月4日 12時) (レス) id: 62ae429c69 (このIDを非表示/違反報告)
さき - とてもとても惹きこまれました。ステキなお話をありがとうございます。また続きを読める日を楽しみにしています。 (2020年8月7日 20時) (レス) id: 59a932d40f (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - とても面白くて感動しました！！続きが気になりますが、主様のペースで更新お待ちしてます。 (2020年6月29日 19時) (レス) id: 7f45d34135 (このIDを非表示/違反報告)
でん - めちゃくちゃ面白いです。感動しました。応援しています。頑張ってください！！ (2020年6月11日 0時) (レス) id: fd92cca3ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みこ | 作成日時：2019年8月24日 13時
