n.30 ページ30
.
「昨日のお弁当に入ってたグラタンみたいなの美味しかった！」
「本当に？会社の人に教えてもらったんだよね〜。」
「今日もAちゃんのお弁当楽しみに頑張る！」
花火大会が終わってから、もっともっと忙しそうになったうみは、なんだか楽しそうで。
「ダンス、楽しい？」
「生きてる感じする。」
私からの質問が意外だったのか、目を丸くして、いたずらっ子みたいな顔で言う。
「うみ、キラキラしてて、楽しそう。」
いつから、私はこんなに弱くなってしまったんだろうなぁ、なんて。
「Aちゃん、寂しい？」
見透かされてる？
「どうして？」
「...寂しい顔してるから。」
ほっぺにツンって指された手は、温かくて、
湧き上がってきた感情は、気づかないふり。
「寂しくないよ、そんな顔してる？」
うみ、この感情に名前をつけるとしたら、なんだと思う？
口には出さず、そっと問いかける。
「...ほんとにほんと？」
「ほんとにほんと。」
「...そっか。」
そう言って、優しく微笑まれる。
「うみ、前に言ったと思うけど明日、私夜いないからね。」
「はーい。」
今日も私はダメな大人だ。
.
加藤さんと初めての食事。
夢みたいだと、思っていたのにあまり気乗りしてない自分がいる。
「...何着ていこう。」
そのまま眠りについた。
「暑い。」
寒がりな私が、珍しく暑くて起きる。
私、昨日クーラーつけて寝たよね？
横で息苦しそうな声が聞こえた。
「うみ？」
おでこに手をやる。
「熱い。」
体温計どこにやったっけ。相当熱かったけど。
熱を測っていると、うみがぼんやり目を開ける。
「Aちゃん、おはよ。」
「大丈夫？頭痛いとか、気持ち悪いとかない？」
ピピピピ、体温計の音。
「39.2か。」
「ちょっと夜中寒かったんだよね。熱なんて出たのいつぶりだっけ。」
久しぶりにみたうみのぽわぽわ顔。
「ごめんね、クーラー寒かった？」
「いつもと一緒だったでしょ？」
「最近、頑張ってたもんね、ちょっと疲れちゃったのかな。」
顔が赤くて、舌っ足らずなうみが可愛くて、
思わず頭を撫でた。
うみがしんどそうに目を瞑る。
「こんなに熱高いのに、一人で大丈夫かなぁ。」
「だいじょうぶだよ、子どもじゃないのに。」
心配だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 791人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はるかぜ(プロフ) - はじめまして！とても好きな世界観のお話で、一気に読んでしまいました(^^)ぜひ続きが読みたいです！！更新楽しみにしております(^^) (2019年8月13日 23時) (
レス) id: b6c810e4ec (このIDを非表示/違反報告)
まぶた(プロフ) - 続編楽しみにしています(;_;)頑張ってください！ (2019年8月5日 2時) (レス) id: 4fd23ee764 (このIDを非表示/違反報告)
るん - 続編楽しみに待ってます…！ (2019年8月4日 10時) (レス) id: 151d13b258 (このIDを非表示/違反報告)
真空(まそら)(プロフ) - 読み進めていくうちに泣いてしまいました。更新されるのを楽しみにしています。 (2019年7月15日 0時) (レス) id: 20aeabfe2b (このIDを非表示/違反報告)
るん - 更新されていて飛び跳ねるほど嬉しかったです（ ; ; ）これからも楽しみにしております（ ; ; ） (2019年6月7日 7時) (レス) id: 151d13b258 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みこ | 作成日時：2019年4月5日 12時
