n.22 ページ22
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「誰も責めなかったから、メンバーの顔が見れなくなった。次、次って頑張ってるメンバーを見るのが苦しくなった。怪我してる自分のために振りを変えてくれる姿にも、申し訳なくて。」
私には計り知れない気持ちだけど、うみに寄り添ってあげたくて、繋いだ手に力を込める。
「...そこまでしてくれるメンバーから逃げたんだ。いたたまれなくなって、練習に行かなくなった。最初はリハビリって言ってて、でもそのうち顔も出さなくなった。久しぶりに行った時に初めて辞めるって言った。」
"弱いから、逃げた。"
きっとそれはトラウマとなって、一生うみに付きまとう。
「宮近っていうリーダーがいて、その時初めて言ったんだ。まだ世界大会に行けてないのに身勝手なこと言うなって。」
直接的にうみのせいにされなかった、その優しさも、うみにとっては見えないナイフだったのかもしれない。
「結局、喧嘩別れみたいになった。
本当は俺のせいだってみんな思ってんだろって。
俺がいなきゃ世界大会に行けたかもしれないのに、いっそ責めてくれよって。誰もなんにも言わなくて。止めてくれたのが元太で。」
元太くんの笑った顔が思い浮かぶ。
「最後に宮近が、勝手にしろよって言ったんだ。
突き放してもらった。自分では逃げることすら出来なかった。」
うみの手を両手で包み込んだ。震える手を止めてあげたかった。
「そのまま逃げるように部屋から出た、一緒に住んでた友達もみんなメンバーと友達だから荷物もって飛び出して、それでAちゃんと出会った。」
うみが目を瞑る。覚悟を決めるみたいに。
「このままじゃいけないって分かってるから、変わろうと思ったんだよね。
明日、元太以外のメンバーにはほぼ1年ぶりに会う。 身勝手なおれを許してくれるかは分からないけど。」
目を開けた。
「謝って、死ぬほど謝って。
もう一度、一緒に夢を追いかけてくれないか頼んでみる。
本当に身勝手だけど、挑戦したい。」
うみの瞳に光が宿った気がした。
幼稚園児じゃない、ただの大人でも無い。
夢をまだ諦めていない、素敵な大人だ。
「...大丈夫だよ。うみなら絶対大丈夫。」
気づいたら、口から勝手に言葉が出てた。
「簡単じゃないかも知れないけど、でもみんな分かってくれるよ。皆待ってくれてるそんな気がする。」
"元太くん以外知らないんだけどね"
そう言うと静かに笑ってくれた。
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はるかぜ(プロフ) - はじめまして！とても好きな世界観のお話で、一気に読んでしまいました(^^)ぜひ続きが読みたいです！！更新楽しみにしております(^^) (2019年8月13日 23時) (
レス) id: b6c810e4ec (このIDを非表示/違反報告)
まぶた(プロフ) - 続編楽しみにしています(;_;)頑張ってください！ (2019年8月5日 2時) (レス) id: 4fd23ee764 (このIDを非表示/違反報告)
るん - 続編楽しみに待ってます…！ (2019年8月4日 10時) (レス) id: 151d13b258 (このIDを非表示/違反報告)
真空(まそら)(プロフ) - 読み進めていくうちに泣いてしまいました。更新されるのを楽しみにしています。 (2019年7月15日 0時) (レス) id: 20aeabfe2b (このIDを非表示/違反報告)
るん - 更新されていて飛び跳ねるほど嬉しかったです（ ; ; ）これからも楽しみにしております（ ; ; ） (2019年6月7日 7時) (レス) id: 151d13b258 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みこ | 作成日時：2019年4月5日 12時
