卅 余り三つ ページ34
視線を上に向けると、その髪の主は笑った。
眠りかけたところで起こされ、まだうっすらとぼやける視界を、目を擦って鮮明にする。
「昔の私は、そんなことを言ったのですか？」
今はいっそ目が覚めなければよかったのに、と確かに思った。
しかし、昔もそんな風に思い、それを口に出したなんて、知らない。
「あれ、覚えてませんか？」
おかしいな、と顎に手を当て、首を傾げる鯰尾殿。
私は起き上がり、彼に頭を下げる。
「……ごめんなさい、何一つ覚えていないんです」
「じゃあ、俺が知ってることは教えた方が良いですか？」
「いえ、主が教えてくださらなかったので、私が知ってはいけない気がするのです」
主には、理由があるに違いない。
ここでそれを知ってしまうのは、主の意に反することなのではないだろうか。
「……何が理由だ。そんなもの、お前の意思など関係なしに審神者が勝手に抱いたものだろう」
不意に背後から、地の底から響くような声が聞こえた。
まとわりつくように重く、いつまでも耳の奥に響くような声。
「あ、主……！」
鯰尾殿の怯えるような言葉に振り返ると、そこには狐の面で顔を隠した和装の女性がいた。
その身に纏うは、禍々しい霊力。
検非違使よりも恐ろしいそれは、私の挙動を封じるのに十分だった。
面の目の部分から覗く赤黒い瞳が、私を見下ろす。
「見習いめ、また面倒な物を拾ってきたな」
そして、傍らに置いていた私自身である短刀を手に取ると、鞘から抜いて刀身を見つめる。
「乱れ刃か。道理でその見た目なわけだ。
……あぁそうだ、丁度いい。試してみたいことがあった」
そう言うと、彼女は私の首筋に短刀を添えた。
あの戦いを思い出し、背中に嫌な汗が流れる。
「本体を傷付ければ、付喪神も傷つく。
だが、逆はどうだ？
違う刀ではなく、その付喪神の本体で傷付ければ？
どう思う、答えろ」
愉しげに細められた目が、薄暗い部屋で不気味に光った。
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セネン@備中のチキン(プロフ) - 傾国萌えのセネンさん» 辛辣な宗三さんが書けないのでちょっとキャラ崩壊気味になっているかもしれません……。わざわざ申し訳ございません。これからも頑張ります。 (2016年3月16日 23時) (
レス) id: fbd19b621e (このIDを非表示/違反報告)
傾国萌えのセネン - セネン@備中のチキンさん» 宗三さんの出番があってうれしいです、ありがとうございます。 (2016年3月16日 22時) (レス) id: 0ef8c99b92 (このIDを非表示/違反報告)
セネン - セネン@備中のチキンさん» なるほど、教えて頂きありがとうございます。では、紛らわしくないようにこれからは「傾国萌えのセネン」とでも名乗りましょうかね(笑) (2016年3月16日 22時) (レス) id: 0ef8c99b92 (このIDを非表示/違反報告)
セネン@備中のチキン(プロフ) - セネンさん» たしかに同じような名前ですね…。調べてみましたところ、ドッグカフェの名前のようです。遷延(せんえん、のびのびになること)から、更新がのびのびになるのでsennenn→senen→セネンといたしました。 (2016年3月16日 17時) (レス) id: fbd19b621e (このIDを非表示/違反報告)
セネン - 僕と似たような名前の人がいて驚きました、セネンという名前のものって既に何かあるのでしょうか?僕はゲームをやってて偶然思いついたのですがセネン@30分クッキングin備中国さんのネーミングの由来は何ですか?よろしければ教えて頂けるとありがたいです。 (2016年3月16日 17時) (レス) id: 0ef8c99b92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セネン@30分クッキングin備中国 | 作者ホームページ：
作成日時：2016年1月18日 21時
