卅 余り一つ ページ32
目が覚めて、見えたのは高い天井だった。
体の痛みは消えていて、すぐ側ではこんのすけ殿が丸くなって眠っていた。
体を起こし、閉められていた障子を開けて庭を見る。
外は、雨だった。
薄暗く、雨が屋根を叩く音がやけに大きく聞こえる。
「あ、起きたんだ」
不意に背後から聞こえた声に振り向けば、そこには加州殿が立っていた。
「気分はどう？どこか痛かったりする？」
「いえ、大丈夫です」
あれだけの傷が、全て消えている事が不思議だった。
この本丸の審神者様が直してくださったのだろうか。
ならば、御礼をしなくてはならない。
審神者様がどこにいらっしゃるのか、尋ねようと口を開きかけた時、加州がそれを制す。
「この部屋から出ない方がいいよ」
「え……？」
「そこで寝てるこんのすけから聞いたけど、顕現されて間もないんでしょ」
「はい」
「だったら、見ないほうがいい」
その方が身のためだよ、と溜め息混じりに言う彼は、そのまま襖を閉めた。
「加州殿っ！」
はっとして、すがるように襖に両手をつき、去ろうとする加州殿を呼び止める。
「なに？」
「私の他に、この本丸に来た方はいませんか？」
薬研殿は、小夜殿は、一期殿は、太郎殿は、御手杵殿は。
あの方々は、いや、エラーゲートによって分断された、他の皆様は。
「あんた一人と、こんのすけだけだったよ」
「……そうですか、すみません」
帰ってきたのは、なんとなく予想していた答え。
急に体の力が抜けて、畳にぺたんと座り込む。
なんとも言えない考えと感情が、頭の中で堂々巡りする。
私はこれから、どうしたらいいのだろう。
＊
その頃、ある部屋に集まった刀剣達は、わいわいと話し合っていた。
「見たことのない、刀剣ですか？」
「しかも、”女士“ね」
「……あの人は、あの子をどうするのかな」
「さぁな。少なくとも、俺達みたいにするってことは無いんじゃないか？」
「こんのすけが本霊だって言ってたし」
「……誰が来ようと、どうせ俺は……」
「お前はとりあえず落ち着けって」
「さて、どうしたものか」
「全ては主次第だ。俺達にどうこうできる問題じゃない」
「止めたところで、聞きやしないでしょう」
「和睦の道は、ありません……」
「さて、どうしたもんかね」
しかし、彼等は襖の向こうでそれを聞いている人影に気付くことはなかった。
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セネン@備中のチキン(プロフ) - 傾国萌えのセネンさん» 辛辣な宗三さんが書けないのでちょっとキャラ崩壊気味になっているかもしれません……。わざわざ申し訳ございません。これからも頑張ります。 (2016年3月16日 23時) (
レス) id: fbd19b621e (このIDを非表示/違反報告)
傾国萌えのセネン - セネン@備中のチキンさん» 宗三さんの出番があってうれしいです、ありがとうございます。 (2016年3月16日 22時) (レス) id: 0ef8c99b92 (このIDを非表示/違反報告)
セネン - セネン@備中のチキンさん» なるほど、教えて頂きありがとうございます。では、紛らわしくないようにこれからは「傾国萌えのセネン」とでも名乗りましょうかね(笑) (2016年3月16日 22時) (レス) id: 0ef8c99b92 (このIDを非表示/違反報告)
セネン@備中のチキン(プロフ) - セネンさん» たしかに同じような名前ですね…。調べてみましたところ、ドッグカフェの名前のようです。遷延(せんえん、のびのびになること)から、更新がのびのびになるのでsennenn→senen→セネンといたしました。 (2016年3月16日 17時) (レス) id: fbd19b621e (このIDを非表示/違反報告)
セネン - 僕と似たような名前の人がいて驚きました、セネンという名前のものって既に何かあるのでしょうか?僕はゲームをやってて偶然思いついたのですがセネン@30分クッキングin備中国さんのネーミングの由来は何ですか?よろしければ教えて頂けるとありがたいです。 (2016年3月16日 17時) (レス) id: 0ef8c99b92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セネン@30分クッキングin備中国 | 作者ホームページ：
作成日時：2016年1月18日 21時
