7 ページ9
.
『…え、急にどうしたの』
質問の意図が分からず思わず聞き返すと、義勇は少し言いづらそうに呟いた。
「…目が、腫れている」
この男も不死川同様、細かな変化に聡い。私は先程のこともあり、すぐに答えられなかった。下手な嘘は見抜かれてしまうだろう。何か言わねばと頭の中であれこれ考えを巡らす。
花粉症ってどうかな。
たしか秋の花粉もあったよね?
もう秋終わりかけだけどまだいけるかな?
そんなこと思っていたら、隣から声がした。
「…言いたくないのならいい。
だが、話を聞く程度なら俺にでもできる」
踏み込みすぎず、突き放しすぎず。思いやり溢れるこの言葉に、一瞬にして頭の中から花粉症というワードは消え去り、話を聞いてほしいという甘えが湧いた。
『…… 聞いてくれる?あのね…』
私が話そうとしたら、キーンカーンコーンとチャイムが鳴った。タイミング悪し。ここまできたら全部ぶちまけたかったが、義勇も次の授業もあるし、まあ仕方がないだろう。
『…もう時間だし、行こっか』
私が立ち上がると、義勇も立ち上がった。長い長い階段を下る。コンクリートを叩く、私たちの足音だけが響く。階段を下り終え、じゃあ、と手を振ろうとしたら、義勇に引き止められた。
「…夜、予定はあるか?」
『バレー部7時まであるけど、その後はない』
「…なら、飲みにでも行かないか」
義勇から誘われるのは珍しい。基本的にいつも私から誘っていたから。驚いていたら、義勇はポツリと呟いた。
「…さっき途中だっただろ」
『うん』
「…体育館に迎えに行く」
それだけ言い残し、義勇は立ち去った。話し足りずに不完全燃焼だった私には、嬉しずぎるお誘いだ。よっしゃ!と思わずガッツポーズをした。
.
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
主人公のイメージイラストを追加しました。
よろしければご覧ください!
(設定の次のページです)
193人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
そら(プロフ) - 義勇推しさんさん» 義勇推しさんコメントありがとうございます!何て嬉しいお言葉…!また義勇さんのお話も作りたいと思っていますので、よろしくお願いします!ありがとうございます!^^ (2021年2月12日 8時) (レス) id: ccadd39c80 (このIDを非表示/違反報告)
義勇推しさん - 義勇さん、かっこよ!こんないい小説作って頂きありがとうございます!これからも頑張ってください! (2021年2月12日 6時) (レス) id: 11d230a7dd (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - 小桜さん» 小桜さんコメントありがとうございます!お名前がとても可愛らしいですね!ご丁寧に訂正まで…!ありがとうございます!何て嬉しいお言葉!とっても励みになります!ありがとうございます^^ (2021年2月9日 19時) (レス) id: ccadd39c80 (このIDを非表示/違反報告)
小桜 - ↓すみません,「これから」ではなく「これからも」でした。作品に感動するあまり誤字ってしまいました(笑) (2021年2月9日 16時) (レス) id: 5b533fd8bf (このIDを非表示/違反報告)
小桜 - 義勇さんがすごく可愛かったです!!とても面白くてすぐに読み終わってしまいました。これから応援してます!!! (2021年2月9日 16時) (レス) id: 5b533fd8bf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:sora | 作成日時:2021年1月19日 16時