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隣で嬉しそうに微笑むAを見ながら、懐かしい記憶に想いを馳せる。
いつか、小学生の頃の自分に会えたら伝えたいことがある。
お前の幼馴染は、からかった相手をドッジボールでボコボコにするほど強くて、いつも不死川とバレー部員たちに向かって怒鳴っていて、騒ぎすぎて伊黒たちにしょっちゅう怒られてる。そんなやつだ。
ここまで聞いていたら、ただのおかしな奴だな。でも、でも本当は誰よりも強くて真っ直ぐな奴なんだ。
初めて会った日、お前はその子に恋をする。あいつは鈍感だから、お前の気持ちに何年も気づかない。悲しくなるくらいにな。
でも、諦めるな。自分の気持ちを押し殺すな。きっと、きっと、その願いは叶うから…。
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Aの横顔を見ていたら、くるりと彼女は振り返った。
『何見てるのよ?』
「別に…」
『分かった!可愛いなって思ってたんでしょ』
「断じて違う」
『ひどい』
Aは憎まれ口を叩きながらも、その顔は笑っていた。そんなA見ていたら、俺も釣られて笑顔になった。どうやら俺は昔から、お前の笑顔にめっぽう弱いらしい。
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『一緒に遊ぼうよ!!』
『君、名前は?』
『私はA。義勇、よろしくね!』
初めて会った日。そう言って、太陽のように微笑んだ君。
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『ほら、義勇行くよ!授業始まる!』
今、目の前には、短い髪を揺らし、キラキラと瞳を輝かせ、初めて会った日と同じように手を差し出すAがいた。
「…ああ」
差し伸べられたAの手をそっと掴み、そのあたたかさを実感しながら思った。
俺はお前には一生敵わない、と。
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終
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そら(プロフ) - 義勇推しさんさん» 義勇推しさんコメントありがとうございます!何て嬉しいお言葉…!また義勇さんのお話も作りたいと思っていますので、よろしくお願いします!ありがとうございます!^^ (2021年2月12日 8時) (レス) id: ccadd39c80 (このIDを非表示/違反報告)
義勇推しさん - 義勇さん、かっこよ!こんないい小説作って頂きありがとうございます!これからも頑張ってください! (2021年2月12日 6時) (レス) id: 11d230a7dd (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - 小桜さん» 小桜さんコメントありがとうございます!お名前がとても可愛らしいですね!ご丁寧に訂正まで…!ありがとうございます!何て嬉しいお言葉!とっても励みになります!ありがとうございます^^ (2021年2月9日 19時) (レス) id: ccadd39c80 (このIDを非表示/違反報告)
小桜 - ↓すみません,「これから」ではなく「これからも」でした。作品に感動するあまり誤字ってしまいました(笑) (2021年2月9日 16時) (レス) id: 5b533fd8bf (このIDを非表示/違反報告)
小桜 - 義勇さんがすごく可愛かったです!!とても面白くてすぐに読み終わってしまいました。これから応援してます!!! (2021年2月9日 16時) (レス) id: 5b533fd8bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sora | 作成日時:2021年1月19日 16時