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しばらくそのまま抱きしめられていたが、やがて、肩を掴まれてゆっくりと体を引き離された。
「… 一度じゃ足りない」
義勇はそう言ったかと思うと、私の顎をくいっと持ち上げた。そして、ゆっくりと顔をこちらに近づけ、彼のものを私の唇に重ねる。
それは、さっき私がした、ただ触れるだけのものではなくて、相手の存在を確かめるような、二人の距離を埋めるかのような、丁寧で優しくて、溶けるようなキスだった。
一度目は私から。二度目は義勇から。唇を離し互いを見つめる。
「…好きだ、A」
『うん』
「幸せにする」
『義勇が隣にいるだけで、私は幸せだよ』
「そうか」
『そうよ』
三度目は、どちらからともなく近づき、引き寄せられるように唇を重ねた。
それはまるで、風が木の葉をさわさわと揺らすみたいな、雪が手のひらの上でふわりと溶けるみたいな、そんなごく自然なことのように感じた。
好きな人と触れるって、こんなに幸せなんだね。
大袈裟なんかじゃなく、今が今まで生きてきた中で、一番幸せかもしれないと思った。
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そら(プロフ) - 義勇推しさんさん» 義勇推しさんコメントありがとうございます!何て嬉しいお言葉…!また義勇さんのお話も作りたいと思っていますので、よろしくお願いします!ありがとうございます!^^ (2021年2月12日 8時) (レス) id: ccadd39c80 (このIDを非表示/違反報告)
義勇推しさん - 義勇さん、かっこよ!こんないい小説作って頂きありがとうございます!これからも頑張ってください! (2021年2月12日 6時) (レス) id: 11d230a7dd (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - 小桜さん» 小桜さんコメントありがとうございます!お名前がとても可愛らしいですね!ご丁寧に訂正まで…!ありがとうございます!何て嬉しいお言葉!とっても励みになります!ありがとうございます^^ (2021年2月9日 19時) (レス) id: ccadd39c80 (このIDを非表示/違反報告)
小桜 - ↓すみません,「これから」ではなく「これからも」でした。作品に感動するあまり誤字ってしまいました(笑) (2021年2月9日 16時) (レス) id: 5b533fd8bf (このIDを非表示/違反報告)
小桜 - 義勇さんがすごく可愛かったです!!とても面白くてすぐに読み終わってしまいました。これから応援してます!!! (2021年2月9日 16時) (レス) id: 5b533fd8bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sora | 作成日時:2021年1月19日 16時