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『何よそれ…』
「その言葉の通りだ。わざと偏った食事をしていたのも、Aに来て欲しかったからだ」
頭の中で四方八方に散らばっていたピースが、するすると埋まってくような気がした。
『いつも屋上階段にいたのも、私と会うため…?』
「…そうだ」
『めっちゃ私のこと好きじゃん…』
「…そうだ」
ふと隣を見ると、義勇の耳は赤く染まっていた。
今の一連の会話で、やっと理解した。
なぜ義勇はいつも屋上階段にいたのか。なぜ菓子パンだけを食べていたのかを。
理解した途端、ずっと絡まっていた糸が、スーッとほぐれ、胸の奥がじんわりとあたたかくなっていくような気がした。
義勇がずっと想っていてくれたことが嬉しくて、あの日惚れさせると言ったのは、冗談でなかったと分かって…。
ああ、やっと気づいた。
私、義勇のことが好きなんだ。
真っ直ぐで、不器用で、口下手で、でも誰よりも優しい義勇のことが…。
一度自覚してしまったら、「好き」って感情が胸の奥からとどめなく溢れ出してきて、思わず口にしそうになった。
でも、ぐっと堪える。今はまだそれを伝えられない。
義勇は何年もずっと、私を想ってくれていたのだ。生半可な気持ちでそれに応えるのは、礼儀がなってないというものだろう。覚悟を決めろ、私。
ふぅーっと深く息を吸って吐く。
『来週の月曜のお昼、屋上階段に来て』
話が急に変わり、義勇は驚いた顔をしたものの、やがて、コクリと首を縦に振った。
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そら(プロフ) - 義勇推しさんさん» 義勇推しさんコメントありがとうございます!何て嬉しいお言葉…!また義勇さんのお話も作りたいと思っていますので、よろしくお願いします!ありがとうございます!^^ (2021年2月12日 8時) (レス) id: ccadd39c80 (このIDを非表示/違反報告)
義勇推しさん - 義勇さん、かっこよ!こんないい小説作って頂きありがとうございます!これからも頑張ってください! (2021年2月12日 6時) (レス) id: 11d230a7dd (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - 小桜さん» 小桜さんコメントありがとうございます!お名前がとても可愛らしいですね!ご丁寧に訂正まで…!ありがとうございます!何て嬉しいお言葉!とっても励みになります!ありがとうございます^^ (2021年2月9日 19時) (レス) id: ccadd39c80 (このIDを非表示/違反報告)
小桜 - ↓すみません,「これから」ではなく「これからも」でした。作品に感動するあまり誤字ってしまいました(笑) (2021年2月9日 16時) (レス) id: 5b533fd8bf (このIDを非表示/違反報告)
小桜 - 義勇さんがすごく可愛かったです!!とても面白くてすぐに読み終わってしまいました。これから応援してます!!! (2021年2月9日 16時) (レス) id: 5b533fd8bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sora | 作成日時:2021年1月19日 16時