幼馴染には敵わない【冨岡義勇】

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今日は約束のデートの日。

余裕を持って到着しようと思ったが、バタバタしていたら待ち合わせの時間に10分ほど遅れてしまった。
すでに到着していた義勇のもとに駆け寄る。




『ごめん！待ったよね？』

「…そんな事はない」




袖から出ているその手に触れると、案の定ヒンヤリと冷たい。




『寒かったよね、ごめん！』




義勇はビクッとし、驚いたように目を見張った。






「…ずいぶん積極的だな」


『いや！ただ触っただけだから！
　深い意味とかは何もなくて…』






あたふたと言い訳をしながら義勇の手に触れた自分の手を離そうとしたら、ぎゅっと掴まれた。





『え…？』

「…デートなのだから手を繋ぐくらいおかしくない」





たしかに、今日はデートだ。
でも、いきなりこれは…、ちょっと恥ずかしすぎる。
真っ赤になって俯く私に、義勇は控えめに言った。




「…嫌ならやめる」




恥ずかしい。けど、いやではない。でも、口に出すのは恥ずかしすぎる。代わりにその手をぎゅっと握り返すと、義勇も優しく、でもしっかりと握り返してくれた。




「…行くか」




その言葉にコクリと頷き、ふわりと秋風が吹く街並みを進んだ。







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