8話 ページ8
「 俺が今日から担任の、相澤消太だ。よろしくね 」
どうしよう、胸の鼓動が鳴り止まない…。まさか、担任の先生が抹消ヒーロー、イレイザーヘッドなんて…！！
ファンですって言ってサインとか欲しいけど…、確かメディアを嫌ってたよね。サインとか欲しがったらダメだよね？
「 なにモジモジしてんだ、行くぞ 」
歩き出した途端、心操くんの事を思い出す。応援してくれるって言ってた。
『 俺と同士だから 』
私と彼が似通っている点はあまりないのに…。何でだろう？
「 俺が先に教室入ってから、合図したら入れ 」
ということは、転校生の最初の難問、自己紹介かぁ。何て言おうと色々考えたけど、さっぱり決まらない。…ヒーロー科にも妬んでる奴がいるって言ってたけど、もしかしてこのクラス…？
「 おい、入ってこい 」
教室に入れば、見たことのない個性が体に現れてる子が何人かいるけど、目を背けたい程ではなかった。
「 雪ノ路Aです。普通科から来ました。よろしくお願いします 」
口の中で、八重歯が伸びた気がした。
まぁるいほっぺが愛らしい女の子が、HRが終わると私の前の席に座る子は、振り向いて、何故かケロっと擬音語を出す。
「 私は蛙吹梅雨、梅雨ちゃんと呼んで 」
「 …じゃ、じゃあ私も、Aちゃんって呼んで」
「 私、思ったことは何でも言ってしまうの。動画で見たAちゃんの個性…、何て個性なの？ 因みに私は蛙の個性 」
ちょっと失礼と、梅雨ちゃんは蛙のような長い舌を出して、ぺろっと私の頬を舐めた。ヌルッとしてたけど、不快感は全くない。
「 蛙らしいことは、何でも出来るわ 」
「 ……梅雨ちゃんは、鬼は好き？ 」
「 えぇ、泣いた赤鬼の絵本はとても好きよ 」
「 私の個性はね、鬼そのものみたい。ほら、今も」
八重歯を見えると、梅雨ちゃんは驚いたように目を見張る。
「 本当に鬼そのものね、ビックリするわ。使うときには人から鬼へ？ 」
「 ううん、それはないの 」
梅雨ちゃんは、お話し上手でポンポンとポップコーンが跳ねるみたいに話を引き出してくれた。女の子と話すなんて、久し振りな気がする。ぎこちな過ぎて、テンポは微妙。ギャグボール
それでも、梅雨ちゃんは休み時間ずっと一緒にいてくれた。
続く (更新停止中)
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作者名：チキンカツ | 作成日時：2018年6月3日 13時
