喧嘩 ページ8
昨日の夜は、散々だったな。四年生の綾部くんからは私が嫌われてることを聞かされるし、勝手に部屋を抜け出たことに怒られるし。
「 そんなに不貞腐れてると、また保健室で一緒に寝かせるよ？ そうすれば、更に疑われるよね？ 」
「 不貞腐れてるよ…。不貞腐れたら悪い？ 」
不機嫌丸出しで、そう突っぱねるとほっぺをぎゅっーと引っ張られた。
「 いふぁい、いふぁーい…！！ 」
「 もう一回言ってごらんよ、ほら？ 」
伊作くん、痛い痛い。頑張って抵抗すると、やっと離してくれた。反抗したかったけど、伊作くんの怖い顔を見て、言葉が喉奥に引っ込んだ。いつもより、低い声が静かな部屋に響く。
「 ……これ以上、面倒ごとを起こさないでよ。」
音を立てて襖を閉め、シーンとした空気になる。また、やってしまった。伊作くんに拾われて、此処に住まわせてもらってるのに、場違いな発言をしたし、約束も破った。あんなに怒るのも、当然だ。ヒリヒリと心が痛くなり、慌てて部屋を飛び出す。
「 はぁー……。」
今日は、仕事が少ない。こんなに馬鹿な事をした日には、少し暗い場所に行こう。最近見つけた、日陰の場所。その場所は、ふさふさの柔らかい草が生えてて丁度いい。
「 ……仲良くしたいなぁ。」
じんわりと涙がこみ上げてきて、体育座りをして膝に顔を押し付けると、着物がジワリと湿る。何がいけないんだろう、何が駄目なんだろう。この気持ちには、もう慣れたと思ってたのに。嫌なことが次々と思い浮かんだ。
大好きなおばあちゃんの視力が低下して、イライラして私に八つ当たりをするようになったこと。進路で両親との折り合いがつかなくなったこと。引っ込み思案な性格で、あまり友達が出来なかったこと。
あの人を失っなこと。
すると、足元に何か纏わりつく感覚がした。気持ち悪くて、パッと顔を上げる。
「 ぎゃっっ！！ 」
女らしくない声を上げてしまった。濃い赤色に茶色の斑点模様の蛇が私を観察している。そのままスルスルと這い上がり、腕に絡みつく。小さな真っ赤な舌をチロチロと出す。
「 ………怖い。」
プルプルと震えながら、何とか立ち上がり、小松田さんの元へ覚悟を決めて歩き出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 121人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
チョコパイ - 続き気になる、更新待ってます! (2021年4月28日 4時) (
レス) id: 451b0d7f40 (このIDを非表示/違反報告)
あみん(プロフ) - とても面白いです！！読みやすいし！！！応援しています！！ (2021年1月5日 12時) (レス) id: ace2dffc29 (このIDを非表示/違反報告)
NARUTOKUN(プロフ) - ふうちゃんさん» いいえっ、いくらでも感想下さい笑笑。私の元気の源はですよー！！ (2018年12月25日 23時) (レス) id: 371427a5bb (このIDを非表示/違反報告)
ふうちゃん - なんかコメント多くてすみません！伊作くんとのハッピーエンド楽しみにしてます、これからも頑張ってください！ (2018年12月20日 20時) (レス) id: bc1f7a9f27 (このIDを非表示/違反報告)
チキンカツ - ふうちゃんさん» コメント、何回もして下さってありがとうございますっ。精一杯最後まで書ききって伊作と幸せ者にしてあげたいです！！ (2018年12月2日 0時) (レス) id: 4c755f6345 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：チキンカツ x他1人 | 作成日時：2018年11月3日 23時
