一番になりたい ページ7
綾部side
天女がまたしても舞い降りて、忍術学園に不穏な空気が流れ出したのは、ちょうど二週間前くらいだ。伊作先輩が連れ帰り、先生たちを説得して、この学園に閉じ込めた。
真っ白な陶器みたいな肌に、濡れガラスのような肩ぐらいまでの髪とと同等の底なしの真っ黒な瞳。その瞳には、邪気は無さそうな見え、変わりに何かを探しているよう。
背は低くて、年は十八歳。年上なのに、何処かに幼さを感じる。料理も洗濯も出来るらしく、この前はじっーと料理の火の番をしてた。
「 だからっ、朝ご飯を食べなさーい!! 」
食堂のおばちゃんに怒られ、
「 Aちゃんっ、書類に血っ、血がついてる!! 」
小松田さんと同じくらいのヘマをして、
「 ヘムヘームっ!! 」
動物が好きなのか。ヘムヘムを見ると、いつもニコニコしてて、
「 気になって仕方がないんですよ。」
そう告げると、ゆっくりと目を見開いくと、僕の追及から逃げるように、顔を逸らす。よく見ると、長い睫毛が水滴で濡れて光っている。でも、彼女の瞳に光なんて綺麗なものは、宿ってない。
その瞳の真意を知っているのは、彼女の本当の色を知ってるのは誰だ? 初めては僕がいい、この人の全部を知るのは僕が一番になりたい。
ここまで気になる女は初めてで。こんなに知りたいという欲求も。
「 ……答えてくれないと、このまま何も進展がないと、他の六年生や五年生は痺れを切らしますよ。」
「 …嫌われてるのは、最初から知ってるから。」
やっと僕を見つめ返すけど、その瞳の奥に僕はいない。誰か、全く別の人物が映ってる気がする。
「 その話、もうそこで終わらせたら? 」
六年生の中でも、少し高めの声。振り向くと、伊作先輩が寝間着姿で彼女の話を制した。
「 伊作くん……。」
「 もう部屋に戻りなよ。」
「 ……おやすみなさい。」
横を通り過ぎたとき、鼻を包み込むような柔らかいいい香りがした。
「 天女様に惹かれてるの? 」
「 …惹かれはしませんよ。ただ、前の天女たちと全く違って気になっただけでーす。」
「 確かにね。まぁ、安心してよ。馬鹿なことはさせないから。」
伊作先輩の瞳の真意を見出そうとしても、読めなかった。天女様に敵意があるのかないのか、それすらも分からなかった。
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チョコパイ - 続き気になる、更新待ってます! (2021年4月28日 4時) (レス) id: 451b0d7f40 (このIDを非表示/違反報告)
あみん(プロフ) - とても面白いです!!読みやすいし!!!応援しています!! (2021年1月5日 12時) (レス) id: ace2dffc29 (このIDを非表示/違反報告)
NARUTOKUN(プロフ) - ふうちゃんさん» いいえっ、いくらでも感想下さい笑笑。私の元気の源はですよー!! (2018年12月25日 23時) (レス) id: 371427a5bb (このIDを非表示/違反報告)
ふうちゃん - なんかコメント多くてすみません!伊作くんとのハッピーエンド楽しみにしてます、これからも頑張ってください! (2018年12月20日 20時) (レス) id: bc1f7a9f27 (このIDを非表示/違反報告)
チキンカツ - ふうちゃんさん» コメント、何回もして下さってありがとうございますっ。精一杯最後まで書ききって伊作と幸せ者にしてあげたいです!! (2018年12月2日 0時) (レス) id: 4c755f6345 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チキンカツ x他1人 | 作成日時:2018年11月3日 23時